障害年金Q&A

公開日: 2025年1月16日
統合失調症では障害年金の受給は難しいですか?

統合失調症で障害年金の申請は難しいとききました。
どのようにすれば良いですか?

統合失調症で障害年金がもらえない? 受給のポイントと対策

統合失調症は、日常生活や就労に大きな影響を与える精神疾患の一つです。そのため、障害年金の対象となることが多いですが、「申請したのに障害年金がもらえない」というケースも少なくありません。なぜ統合失調症でも障害年金を受給できない場合があるのか、どのような対策をすれば受給できる可能性が高まるのかを解説します。

 


1. なぜ統合失調症で障害年金がもらえないのか?

統合失調症で障害年金を申請したのに、不支給となる理由はいくつかあります。

① 診断書の内容が不十分

障害年金の審査では、医師が作成する**「診断書」**が非常に重要です。診断書に「日常生活や就労にどの程度影響があるか」が具体的に書かれていないと、審査に通らないことがあります。

例:不支給になりやすい記載

  • 「薬を服用すれば症状が安定している」
  • 「支援があれば生活できる」

上記のような表現では、「障害が軽い」と判断される可能性があります。

 


② 初診日の証明ができない

障害年金を受給するには、**「初診日要件」**を満たす必要があります。これは、初めて統合失調症の症状で病院を受診した日を証明するものです。しかし、以下のような場合は初診日が証明できず、もらえないケースがあります。

  • カルテが廃棄されている
  • 転院していて最初の病院の記録がない
  • 初診が精神科ではなく内科や神経科だった
  •  

③ 日常生活への影響が十分に伝わっていない

審査では、申請者の日常生活がどれだけ制限されているかが重要なポイントになります。しかし、「病歴・就労状況等申立書」に以下のような記載をしてしまうと、軽度と判断されることがあります。

例:不支給になりやすい記載

  • 「家族の支援があれば問題なく生活できる」
  • 「仕事を辞めたが、家事はこなせる」

統合失調症の場合、幻覚・妄想、対人関係の困難、社会適応の低下などが日常生活にどのような影響を及ぼしているかを、具体的に書くことが重要です。

 


2. 障害年金をもらうための対策

統合失調症で障害年金を受給するためには、以下の対策が有効です。

① 医師に具体的な診断書を書いてもらう

診断書の内容は、審査に大きく影響します。以下のポイントを医師に伝え、詳細に記載してもらいましょう。

  • 一人で外出できるか?
  • 日常生活で支援が必要か?
  • 幻覚や妄想がどの程度あるか?
  • コミュニケーション能力に問題はあるか?
  • 就労が困難な理由は何か?

審査では「どの程度の支障があるか」が判断基準になるため、単に「症状がある」と記載するだけではなく、具体的なエピソードを記載してもらうことが大切です。

 


② 初診日を証明できる書類を集める

初診日を証明するためには、以下のような書類を準備しましょう。

  • 診療記録や紹介状
  • 健康保険の履歴(レセプト)
  • 通院当時の診察券や領収書
  • 病院での処方箋

もし初診日の証明が難しい場合は、通院歴のある家族の証言を添える方法もあります。

 


③ 病歴・就労状況等申立書を具体的に記入する

障害年金の申請では、病歴・就労状況等申立書が重要です。具体的に以下のように記載すると、審査官に伝わりやすくなります。

✅ 良い記入例
「妄想が強く、他人に監視されていると感じるため、外出が困難。買い物は家族に頼るしかない。」
「就労していたが、対人恐怖が強くなり、職場での会話が困難になったため退職。」

このように、症状が生活や仕事に与える影響を具体的に書くことがポイントです。

 


3. もし障害年金がもらえなかったら?

もし障害年金が不支給になった場合でも、あきらめる必要はありません。以下の対応を検討しましょう。

不服申し立て(審査請求)をする
 審査結果に納得がいかない場合、60日以内に審査請求を行うことができます。多くの人が、不服申し立てをして認められるケースがあります。

再申請を検討する
 一度不支給になっても、症状が悪化した場合は再申請できます。診断書や申立書を見直し、より詳細な情報を記載しましょう。

社会保険労務士に相談する
 障害年金の専門家である社会保険労務士に相談すると、適切なアドバイスを受けられます。無料相談を提供している事務所も多いので、活用するのも一つの方法です。

 


4. まとめ

統合失調症でも、申請内容や証明書類に不備があると障害年金がもらえないことがあります。しかし、適切な診断書、病歴・就労状況等申立書、初診日証明を揃えることで、受給の可能性を高めることができます。

もし不支給になった場合も、不服申し立てや再申請の手段があるため、あきらめずに対応を検討しましょう。正しい情報をもとに準備を進め、必要な支援を受けるための第一歩を踏み出してください。

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