- 公開日: 2025年1月20日
- 障害年金の申請をする前に知っておく内容ってありますか?
自分で申請をするか、プロにお願いするか迷っています。
障害年金のデメリットとは?受給前に知っておきたいポイント
障害年金は、病気や障害によって働くことが難しい人の生活を支える重要な制度です。しかし、メリットばかりが注目されがちで、実際にはいくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。本コラムでは、障害年金のデメリットについて詳しく解説し、受給を検討する際の参考にしていただければと思います。
1. 収入があると支給が停止・減額される可能性がある
障害年金は、基本的に障害の程度に応じて支給されるものですが、就労状況や収入によっては支給が停止されたり、減額されることがあります。
(1) 障害等級の見直し
- フルタイムの正社員として安定した収入を得ている場合、障害の程度が軽くなったと判断され、支給が停止される可能性があります。
- 特に 障害厚生年金3級 は「労働に制限があること」が条件のため、問題なく働けると判断されると支給停止のリスクが高まります。
(2) 収入制限の影響
- 障害基礎年金自体には収入制限はありませんが、生活保護やその他の福祉制度との併用時には影響が出ることがあります。
- 障害厚生年金の一部給付(例えば「障害手当金」)は収入によって減額・停止の可能性があります。
2. 申請手続きが複雑で時間がかかる
障害年金の申請には、多くの書類を準備し、審査を受ける必要があります。
(1) 診断書や病歴・就労状況等申立書の作成が難しい
- 診断書(様式第120号) は、医師が記載するものですが、障害年金の基準に沿った内容になっていないと、受給が難しくなることがあります。
- 病歴・就労状況等申立書 では、障害による生活への影響を具体的に記述する必要があり、作成に時間と労力がかかります。
(2) 申請から支給決定までに時間がかかる
- 申請後の審査には 3~6ヶ月 かかるのが一般的で、その間の生活費をどうするかも考えておく必要があります。
- 書類の不備や追加書類の要請があると、さらに時間がかかる可能性があります。
3. 障害年金だけでは生活費をまかなえない可能性がある
障害年金の支給額は、年金制度や等級によって異なりますが、十分な生活費をカバーできるわけではありません。
(1) 支給額の目安
- 障害基礎年金2級(単身者の場合): 月額約7万円
- 障害厚生年金3級(平均的な受給額): 月額約5万円
- 障害基礎年金1級 でも、 月額約9万円 ほど
生活するためには、これ以外の収入や支援策を活用する必要があります。
(2) 他の福祉制度との併用が必要
障害年金だけでは生活が厳しい場合、生活保護や就労支援制度を利用することになりますが、これらの制度と障害年金の併用には制限があることがあるため、注意が必要です。
4. 将来の年金額に影響が出る可能性がある
障害年金を受給している間、厚生年金保険料を納める機会が減るため、老齢年金(一般的な年金)の受給額に影響を与える可能性があります。
(1) 障害年金期間中は保険料免除
- 障害年金を受給している間、年金保険料の支払いが免除されることがあります。
- しかし、免除期間中は 老齢年金の受給額が少なくなる ため、将来的な年金額に影響が出る可能性があります。
(2) 障害年金と老齢年金の併用制限
- 障害年金と老齢年金は同時に満額受給できない ため、どちらかを選択する必要が出てくるケースがあります。
5. 更新手続きが必要で、継続受給が保証されない
障害年金は、一度受給が決定したら一生もらえるわけではなく、 定期的に更新審査が行われます。
(1) 更新時の診断書提出が必要
- 障害の状態を証明するために、 1~5年ごと に診断書を提出する必要があります。
- その際、障害の程度が軽減されたと判断されると 等級が下がる または 支給が停止される 可能性があります。
(2) 障害認定基準の変化による影響
- 障害の認定基準は、行政の方針や法改正によって変わることがあり、将来的に受給条件が厳しくなる可能性もあります。
6. まとめ~障害年金はメリットも大きいが、デメリットも考慮すべき
障害年金は、障害を持つ方が安定した生活を送るために重要な制度ですが、以下のようなデメリットもあるため、慎重に検討する必要があります。
障害年金のデメリットまとめ
- 収入があると支給が停止・減額される可能性がある
- 申請手続きが複雑で時間がかかる
- 障害年金だけでは生活費をまかなえない可能性がある
- 将来の年金額に影響が出る可能性がある
- 更新手続きが必要で、継続受給が保証されない
障害年金を申請する際は、これらのデメリットを考慮し、社労士や年金事務所に相談しながら適切な選択をすることが重要です。また、障害年金だけに頼るのではなく、就労支援や福祉制度を活用しながら、生活の安定を図ることも必要です。
障害年金の申請を考えている方は、メリット・デメリットの両方を理解したうえで、最適な方法を選択していきましょう。
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