- 公開日: 2025年2月6日
- 人工血管で障害年金の受給は可能ですか?
人工血管を装着しています。
障害年金の受給は可能でしょうか?人工血管を使用していると障害年金は受給できるのか?基準と申請のポイント
人工血管は、動脈瘤や血管閉塞症などの治療のために使用される重要な医療技術です。しかし、人工血管を使用しているからといって、必ずしも障害年金を受給できるわけではありません。障害年金の支給には、障害等級の基準を満たしているかどうか が重要なポイントになります。本コラムでは、人工血管を使用している方が障害年金を受給できる可能性や、申請時の注意点について解説します。
1. 人工血管と障害年金の関係
障害年金の支給は、単に人工血管を使用しているかどうかではなく、「日常生活や労働にどの程度支障があるか」で判断されます。障害認定基準において、人工血管が障害年金の対象となるケース は、主に以下のような場合です。
(1) 心臓や大血管に関わる手術
- 大動脈瘤の手術で 人工血管置換術 を受けた場合
- 大血管(胸部・腹部大動脈)に人工血管を使用し、継続的な管理や治療が必要な場合
- バイパス手術後に著しい循環障害が残る場合
このようなケースでは、障害厚生年金3級または2級 に該当する可能性があります。
(2) 下肢動脈や血管閉塞に関する人工血管
- バージャー病(閉塞性血栓血管炎) や慢性動脈閉塞症 で人工血管バイパス術を行った場合
- 血管狭窄が著しく、歩行困難な状態が続く場合
- 下肢切断後に義足を使用し、長時間の歩行や日常生活が制限される場合
このような場合、症状の重さによって 3級または2級 の障害年金が認められることがあります。
2. 障害年金の等級と人工血管の適用基準
障害年金の等級は、主に以下の基準で判断されます。
障害等級 人工血管の適用基準 1級 心不全や血行障害が極めて重く、日常生活がほぼ不可能な場合 2級 人工血管の手術後も日常生活や労働に大きな支障があり、継続的な治療が必要な場合 3級 仕事に支障があるものの、軽作業なら可能な場合(障害厚生年金のみ対象) 一般的に、人工血管を使用しているだけでは1級に該当することは少なく、2級または3級が適用される可能性 が高いです。
3. 障害年金がもらえないケース
人工血管を使用していても、以下のような場合には障害年金が受給できない可能性があります。
(1) 手術後、症状が安定している
- 手術後の経過が良好で、日常生活や仕事にほとんど支障がない場合
- 医師の診断で「労働に支障なし」と判断された場合
人工血管を使用したとしても、日常生活に支障が少ない場合、障害等級の認定を受けるのは難しくなります。
(2) 診断書の記載が不十分
障害年金の審査では 診断書の内容が非常に重要 です。特に以下のような場合は、不支給となる可能性が高くなります。
- 人工血管手術の詳細が記載されていない
- 症状が軽いように書かれている
- 医師が障害年金の基準を十分に理解していないため、適切な診断書を作成できていない
診断書の作成前に、障害年金の申請に詳しい医師や社労士に相談することをおすすめします。
(3) 初診日が年金未納期間
障害年金を受給するには、初診日(障害の原因となる病気で最初に医療機関を受診した日)が年金加入期間内であること が必要です。以下のケースでは、受給が難しくなることがあります。
- 初診日が 国民年金の未納期間中 で、納付要件を満たしていない
- 初診日が 年金未加入期間(例えば20歳前や無職期間)だった
4. 人工血管で障害年金を受給するためのポイント
人工血管を使用していて障害年金を申請する場合、以下のポイントを押さえておきましょう。
✅ 診断書に人工血管使用の詳細を記載してもらう
- 手術の内容、術後の経過、日常生活への影響を明確に記載
- 動脈硬化の進行や再手術の必要性なども記載
✅ 病歴・就労状況等申立書をしっかり作成
- 歩行困難の程度、日常生活への支障、仕事への影響を具体的に書く
- 医師の診断書と内容を統一する
✅ 年金納付要件を確認
- 初診日が年金加入期間内であることを確認
- 年金未納期間がないかチェック
✅ 専門家(社労士や年金事務所)に相談
- 申請手続きが複雑なため、社労士に相談するとスムーズに進む
- もし不支給になった場合でも、不服申し立て(審査請求)が可能
5. まとめ~人工血管を使用していても障害年金がもらえないケースがある
人工血管を使用している場合、障害年金を受給できる可能性はありますが、以下のポイントに注意が必要です。
✅ 障害年金の対象になるのは、日常生活や労働に制限がある場合
✅ 手術後の経過が良好で支障が少ない場合は、受給が難しい
✅ 診断書の記載が不十分だと、不支給になることがある
✅ 初診日や年金の納付状況が要件を満たしているか確認が必要人工血管を使用している人が障害年金を申請する際には、診断書の内容、病歴・就労状況等申立書の記載、年金の納付要件 をしっかり確認し、受給できるよう準備を進めましょう。
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