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【大阪難波の社労士】障害者雇用とは?制度の概要やメリット・デメリットを解説
大阪難波を中心に企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。一定数以上の従業員が在籍する場合、企業には障害のある人を雇用する義務があります。しかし、中には「そもそも障害者雇用とは、どのような制度なのかわからない」と感じている企業や担当者様がいるかもしれません。
本記事では障害者雇用の概要について、雇用するときの注意点やメリット・デメリットと一緒に解説します 。
障害者雇用とは障害のある人を積極的に採用すること
障害者雇用とは障害のある人を企業が積極的に採用し、それぞれの能力や適性に合わせた仕事の場を提供することです。障害者雇用促進法の中で目的や理念、対象者などが定められています。
法定雇用率と雇用すべき人数の算出方法
障害者雇用では、企業が雇用すべき障害のある人の人数を「法定雇用率」という言葉で定めています。制度が生まれてから何度も改正され、段階的に雇用率が引き上がってきました。2023年2月時点の法定雇用率は次の通りです。
区分 | 法定雇用率 |
民間企業 | 2.3% |
都道府県等の教育委員会 | 2.5% |
国や地方公共団体等 | 2.6% |
民間企業の法定雇用率は2.3%です。従業員を43.5名以上雇っている企業では、1名以上の障害のある人を雇用しなければいけません。
それぞれの企業で雇用すべき人数は「(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×2.3(法定雇用率)」の計算式で算出できます。常用労働者と短時間労働者に該当する条件は、次の通りです。
- 常用労働者:1週間の労働時間が30時間以上
- 短時間労働者:1週間の労働時間が20時間以上30時間未満
たとえば、常用労働者が150名、短時間労働者が20名在籍している企業の場合は「(150+20×0.5)×2.3」の計算で、3.68という数字が算出されます。小数点以下は切り捨てるため、3名以上の障害のある人を雇用しなければいけません。
厚生労働省は現在の法定雇用率を、段階的に引き上げる方針を固めました。民間企業は2024年度より2.5%、2026年度より2.7%にアップする予定です。また都道府県等の教育委員会は2.9%、国や地方公共団体等は3.0%への引き上げを最終的に予定しており、民間企業と同じく段階的にアップします。
参照:厚生労働省「令和5年度からの障害者雇用率の設定等について」
法定雇用率を満たさない場合(常用労働者100人超の企業)
雇用義務があるにもかかわらず、法定雇用率を満たさない場合は、次のような罰則を受ける可能性があります。
- 障害者雇用納付金の支払い
- 厚生労働大臣による企業名の公表
雇用すべき障害のある人の人数が1名不足するごとに、月5万円の障害者雇用納付金の支払いが求められます。罰金ではないため、納付金を支払っても雇用義務がなくなるわけではありません。
またハローワークや厚生労働省による改善指導が入ったにもかかわらず、雇用状況が改善されなかった場合は、厚生労働大臣が企業名を公表できます。
障害者雇用における対象者
法定雇用率に算定できるのは、身体障害者福祉手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれかの手帳を所持する人を雇った場合です。発達障害がある人は、基準を満たせば精神障害者保健福祉手帳を取得できます。
また身体障害者手帳の等級が1級・2級、療育手帳の区分が最重度のAに該当する場合は、1名を2名分としてカウントできます。短時間労働の場合は、1名分としてカウントします。
障害のある人を雇用するときの注意点
これから障害のある人を雇用するときは、合理的配慮の提供義務がある点に注意してください。合理的配慮とは「障害のある人が社会生活の中で生じる困ったことを、可能な範囲で調整・変更するもの」です。
たとえば、次のようなものが合理的配慮に当てはまるでしょう。
- 車いすを使う身体障害のある人に、移動しやすい十分なスペースを設ける
- 耳からの情報理解が苦手な発達障害のある人に、文字やイラストで仕事の指示を出す
- ブランクがある精神障害のある人に、まずは短時間勤務で仕事に慣れてもらう
障害のある人が働きやすいように、それぞれの障害特性に合わせた配慮が企業に求められています。
障害者雇用によるメリット・デメリット
障害者雇用にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?以下でそれぞれの詳細を紹介します。
メリット
障害者雇用は一定数の従業員を雇用する企業の義務であるものの、次で挙げるようにいくつかのメリットがあります。
- 企業イメージがアップする
- 業務の最適化につながる
- 助成金を受け取れる
現代社会における企業活動では、社会からの信頼を得ることが欠かせません。自社の利益や都合だけを追求する企業はブランドイメージを損ない、売り上げの減少につながります。障害のある人を積極的に採用し、活躍できる場所であると示すことで企業イメージがアップするでしょう。
業務内容の最適化につながるのも大きなメリットのひとつです。多くの企業では障害のある人向けの仕事を準備するために、既存の業務内容を見直します。業務内容や手順を見直したり、仕事を切り出したりすることで、業務効率が大きくアップした企業も少なくありません。
また障害者雇用を進めている企業に対して、以下のような助成金があります。
- 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
- トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)
- 職場適応援助者助成金
上記はたくさんある中での一例です。条件に該当すれば、様々な種類の助成金を受け取れるでしょう。障害者雇用における助成金の詳細は以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
デメリット
障害者雇用におけるデメリットとして考えられるのが、障害特性に合わせた対応への不安が生まれることです。特にこれまで障害のある人と関わった経験がないと、具体的な対応や配慮の仕方がわかりません。
現在は本人だけでなく、障害者雇用を進める企業に対してもサポートしている機関・事業所がたくさんあります。雇用に関する相談にも乗ってくれるため、上手に活用しましょう。
当事務所のグループ会社である就労移行支援事業所にこにこワークスでは、障害のある人を対象に就労へ向けた多くのサポートをしています。就労後は継続して仕事を続けられるように、企業との間に立った定着支援も実施。定期的に企業へ訪問し、障害のある人と企業のどちらも安心できる環境づくりを構築しています。障害者雇用に興味のある企業や担当者様は、ぜひご相談ください。
まとめ
障害者雇用とは障害のある人を採用し、能力や適性に合わせて働く場を提供することです。障害者雇用促進法では法定雇用率が設定されており、一定数以上の従業員が在籍する企業は障害のある人を雇用しなければいけません。
金銭的支援として助成金がありますが、支給条件はそれぞれで異なります。社会保険労務士法人渡辺事務所では、障害者雇用における助成金のご相談にも応じています。障害者雇用を考えている企業や担当者様は、ぜひお気軽にご連絡ください。
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