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【大阪難波の社労士】裁量労働制の仕組みとは?導入時の注意点も紹介
大阪難波を中心に企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。
多様な働き方の中で、最近特に注目されているのが裁量労働制ではないでしょうか。適用可能な業務は限定されているものの、上手に利用すれば生産性の向上が期待できます
本記事では裁量労働制の仕組みとはどのようなものなのか、導入する際の注意点と一緒に紹介します。
裁量労働制とは?目的や主な仕組みなど
裁量労働制とは、あらかじめ使用者との間で「みなし労働時間」を定めておき、労働者が働く時間を自由に決められる制度のことです。
まずは制度の目的や主な仕組み、2つの種類、フレックス制・変形労働時間制との違いなどを見ていきましょう。
目的
裁量労働制の目的は事業場における生産性を高め、より大きな成果を出すことです。たとえば、技術職の中には勤務時間が固定されることで、業務効率が大きく低下するものがあります。
制度の導入によって働き方の自由度が高まり、職種の特性に合った高い生産性が実現します。
主な仕組み
「1日8時間勤務」といった、みなし労働時間を基準とします。ただし、始業時間から終業時間までは労働者の裁量に任されており、たとえ12時間働いたとしても4時間分はカウントされません。就業時間だけでなく、遅刻・早退・残業・半休といった概念もないのが特徴です。
残業代は原則として発生しないものの、一定の条件下では割増賃金などの対象となります。詳細は後述します。
2つの種類
裁量労働制は大きく、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類に分けられます。
専門業務型裁量労働制は厚生労働省が定める19の業務が対象で、専門性が高い業務に限定されています。事業場の過半数労働組合、または過半数代表者との労使協定締結によって導入可能です。
企画業務型裁量労働制は、企画・立案・調査・分析といった事業の中核を担う業務に適用されます。専門業務型裁量労働制と比べて、導入要件は厳しいのが特徴です。
参照:厚生労働省「専門業務型裁量労働制」
参照:厚生労働省「企画業務型裁量労働制」
フレックス制や変形労働時間制との違い
裁量労働制と似たものにフレックス制や変形労働制が挙げられますが、明確な違いがあります。
フレックス制は労働者が始業時間と終業時間を決められるものの、1日の労働時間を実労働時間として計算します。そのため、実際に働いた時間に対して賃金が生じ、残業代も発生します
変形労働制は繁忙期や閑散期などに応じて、会社が労働時間を週・月単位で調整するものです。労働者に労働時間の裁量はありません。
裁量労働制を導入するメリットとデメリット
裁量労働制の導入には、以下のようにメリットとデメリットの両面があります。これから導入するかどうかを検討するときは、メリットとデメリットを正しく理解しておくことが大切です。
メリット
主なメリットは次の4つです。
- 人件費を想定しやすい
- 生産性が向上する
- 従業員のモチベーションがアップする
- 優秀な人材が集まる
みなし労働時間で給与を計算するため、人件費が予想しやすくなります。給与計算やコスト管理がスムーズ化し、業務効率の向上が期待できるでしょう。
あらかじめ給与額が決まっていることから、従業員はできるだけ短い時間で同じ成果を出した方が、時給換算したときの額が高くなります。集中した働き方によって、生産性の向上につながります。
また時間に縛られない自由な働き方は多くの従業員にとって魅力的で、モチベーションのアップや優秀な人材の獲得に役立つでしょう。
デメリット
メリットがある一方で、裁量労働制の導入には以下のようなデメリットが挙げられます。
- 導入時の負担が大きい
- 長時間労働を引き起こす可能性がある
最も大きなデメリットといえるのが、導入時の負担が大きいことでしょう。まずは対象となる業務の選定や、遂行する際の手段や方法を明確にしなければいけません。さらに、みなし労働時間や健康・福祉に関する措置内容など、複数の項目について労働者と双方で納得するまで話し合う必要があります。
また長時間労働を引き起こす可能性がある点にも、注意が必要です。たとえば、みなし労働時間内に業務が終わらなかった場合、意図せずに長時間労働を押しつけてしまうかもしれません。
これから裁量労働制を導入する際の注意点
これから裁量労働制を導入する際ときは、特に次の3つに注意しましょう。
36協定の締結が必要な場合がある
みなし労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える場合や、深夜労働や休日労働をする場合は、36協定の締結が必要です。
また22時~翌朝5時までの間で勤務した場合は深夜割増賃金を、休日に勤務した場合は休日手当をそれぞれ支給しなければいけません。
残業時間を適切に管理する
36協定を締結していても、残業時間は月45時間、年360時間が上限です。上限を超えた労働は違法であるため、残業時間を適切に管理する必要があります。
注意点は、月の残業時間をクリアしていても、年の残業時間を超えてしまうケースです。たとえば、みなし労働時間が10時間で、月の平均出勤日数が20日だった場合、月の残業時間は40時間で問題はありません。しかし、年換算すると480時間のため、年の残業時間の上限を超えてしまいます。
深夜・休日労働を事前承認制とする
深夜・休日労働がある場合は、事前承認制とすると安心です。
先で述べたように、裁量労働制でも深夜・休日労働は割増賃金や休日手当の対象となります。中には深夜・休日労働が多く発生し、支払う賃金額が大きくなるケースがあり、従業員とのトラブルとなりかねません。
事前承認制にしておくと勤務状況を適切に把握でき、コスト管理にもつながるでしょう。
まとめ
裁量労働制とは、みなし労働時間を定めておき、労働者が働く時間を自由に決められる制度のことです。適用できる業務は限られますが、生産性の向上や従業員のモチベーションアップといったメリットがあるでしょう。
導入する際は36協定の締結が必要な場合があるほか、残業時間の管理といった注意点があります。適切な労務管理が必須であるため、スムーズに運用できるよう入念な準備が求められるでしょう。
社会保険労務士法人渡辺事務所は、大阪市中央区難波を拠点に全国対応しております。裁量労働制の導入にあたった労務管理に応じているため、ぜひお気軽にご相談ください。
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