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【大阪難波の社労士】インフルエンザは出勤停止の対象?会社がすべき対応を紹介

2023.11.16 スタッフブログ

大阪難波を中心に企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。

従業員がインフルエンザに感染したまま出勤すると、ますます健康状態が悪くなるだけでなく、他の従業員へ感染させてしまう恐れもあります。「感染した従業員を、出勤停止にできるのかな?」と疑問に感じている担当者も多いのではないでしょうか。

本記事ではインフルエンザが出勤停止の対象なのかについて、流行に対して会社がすべき対応と一緒に紹介します。

インフルエンザは出勤停止の対象になりえる

労働関連の法令では、インフルエンザに感染した従業員の出勤停止を定めた条文はありません。そのため、会社ごとの規則によって、出勤停止とするかどうかが異なるのが実際です。

しかし、多くの会社では学校保健安全法の基準を取り入れ、出勤停止期間を定めています。以下で、学校保健安全法の季節性インフルエンザ基準について見ていきましょう。

学校保健安全法に基づく出勤停止期間

学校保健安全法施行規則第19条では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」を出席停止期間と定めており、同期間を出勤停止期間としている会社が少なくありません。以下のように発症翌日を1日目と数え、そこから5日が経過し、さらに解熱してから2日経てば出勤できます。

発症日 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目
発熱 療養 療養

療養
解熱

療養
解熱1日目

療養
解熱2日目

出勤可能

また同居する家族などが感染した場合は「予防処置により医師が感染のおそれがないと認めるまで」と定められています。

参照:e-GOV「学校保健安全法施行規則

解熱した状態とは平熱のこと

解熱した状態とは、平熱のことです。平熱には個人差があるものの、一般的には36.5℃前後を平熱としています。

療養中に一旦平熱に下がっても、時間が経って再び上がることがあるため、よく観察しなければいけません。

インフルエンザに感染した従業員の出勤強要は違法性が高い

前述したように、労働関連の法令では、インフルエンザに感染した従業員の出勤停止を定めた条文がありません。しかし、従業員に出勤を強要した場合は違法性が高まるため、注意が必要です。

労働安全衛生法第68条では、インフルエンザのような感染性の高い病気にかかった従業員に対して、就業の禁止を定めています。また労働契約法第5条では使用者の安全配慮義務を規定し、従業員が生命や身体の安全を確保できるよう配慮しなければいけないとされています。

感染した従業員に出勤を強要した場合、労働安全衛生法第119条に基づいて6カ月以下の懲役、または50万円以下の罰金に科される可能性があるでしょう。また安全配慮義務違反によって、従業員から債務不履行責任や不法行為に対する損害賠償を請求されるかもしれません。

参照:e-GOV「労働安全衛生法
参照:e-GOV「労働契約法

インフルエンザの流行に対して会社がすべきこと

インフルエンザの流行から従業員の体調を守り、さらに堅実に会社を経営していくためには、どのような対策をとればよいのでしょうか。以下で会社がすべきことを5つ紹介します。

就業規則を整備する

インフルエンザに感染した従業員に出勤停止を命ずるためには、就業規則へその旨を記載しておくことが大切です。症状が表れたときは早めに医療機関を受診するほか、上記で解説した出勤停止期間の基準も明示するとよいでしょう。

医療機関への負担増大や陰性証明が一般的には難しいことから、厚生労働省は「会社への診断書と治癒証明書の提出は望ましくない」としています。そのため、会社ごとの事情に合わせて、提出を求めるかどうかを決めましょう。

参照:厚生労働省「インフルエンザQ&A

出社しないよう勧奨する

インフルエンザの感染が疑われる従業員に対しては、出社しないように勧奨しましょう。ポイントは命令ではなく、勧奨によって従業員自身が自主的に休んでもらうことです。

従業員が自主的に休む場合は私傷病による欠勤のため、原則として賃金は発生しません(有給休暇を取得する場合は別)。しかし、感染が疑われる段階で会社が出勤停止を命ずると、賃金、または休業手当の支払い義務が発生します。

一方でインフルエンザ感染の診断が出ている場合は、出勤停止命令をしても、賃金や休業手当を支払う必要はありません。

希望する場合は有給休暇の取得を認める

従業員自身が有給休暇の取得を希望する場合は、取得を認めましょう。会社は正当な理由なく有給休暇の申請を拒否できず、場合によっては労働安全衛生法第119条に基づいて6カ月以下の懲役、または50万円以下の罰金に科される可能性があるためです。

ただし、有給休暇は従業員自身の申請に基づいて取得すべきもののため、会社側の判断で一方的に有給休暇扱いにできません。あくまでも従業員の自主性に委ねます。

インフルエンザワクチン接種の補助を設ける

厚生労働省によると、インフルエンザワクチンを接種した場合、接種しなかったときと比べて発病率が60%減少するとされています。接種費用に健康保険は適用されず、金額は医療機関によって異なります。

従業員のインフルエンザ感染を予防するために、ワクチン接種費用に対する補助を設けるとよいでしょう。

参照:厚生労働省「インフルエンザQ&A

安心して休める体制を整える

インフルエンザの感染が疑われる従業員に休むよう勧奨しても、従業員によっては責任感の強さなどから、無理に出勤しようとするかもしれません。

安心して休んで治療に専念できるよう、会社や部署内のバックアップ体制を整えておくことが大切です。

まとめ

労働関連の法令では、インフルエンザに感染した従業員を出勤停止とする条文はありません。しかし、実際には学校保健安全法の内容に基づいて、出勤停止期間を設けている会社が多くあります。

出勤停止は法令で定められていないものの、出勤を強要すると労働安全衛生法や労働契約法違反となる可能性があるでしょう。従業員の健康を第一に考え、社内で流行・感染に対する方針と対応方法を考えておくことが求められます。

社会保険労務士法人渡辺事務所は、大阪市中央区難波を拠点に全国対応しております。インフルエンザの流行・感染に対する就業規則の作成や労務監査などに応じているため、ぜひお気軽にご相談ください。

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