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昇給・降給とは?随時改定における注意すべきポイントについてご紹介!

2024.08.09 社労士コラム

組織における昇給と降給は、従業員の給与に直接影響を与える重要な要素です。
昇給は従業員の成果や貢献度に応じて行われ、モチベーションを高め、組織の競争力を維持する役割を果たします。
本記事では、昇給・降給とは何か、また社会保険料改定「随時改定」の対象となる昇給・降給についてご紹介します。

昇給・降給とは

昇給とは、従業員の基本給や手当などの給与額が増加することを指します。
通常、昇給は従業員の成果や貢献度、または組織全体の業績に応じて行われます。
昇給は一般的に年次査定や評価の結果に基づいて決定され、従業員のモチベーションを高め、労働市場での競争力を維持するために重要な要素です。

降給とは、逆に従業員の給与額が減少することを指します。
これは、業績不振や業務遂行能力の低下などの理由で行われる場合があります。
降給は従業員にとっては大きな影響を与えるため、組織や従業員の状況に応じて慎重に判断される必要があります。

固定賃金とは、従業員に対して毎月一定の金額が支払われる給与の形態です。
このため、固定賃金は従業員の勤務時間や業績には関係なく支給されるため、安定した収入を得られます。

一方、非固定賃金は従業員の勤務実績や特定の条件を満たした際に支給される給与の形態です。
残業手当や休日出勤手当などがこれに該当し、勤務内容や労働条件に応じて支給額が変動します。

社会保険料改定「随時改定」の対象となる昇給・降給

社会保険料の随時改定は、従業員の給与に大きな変動があった場合に適用されます。
具体的には以下の条件が全て揃った場合に随時改定が実施されます。

1: 昇給・降給により固定的賃金が変動した場合

昇格や昇進、あるいは降格などにより、従業員の基本給や固定手当などの固定的賃金が大幅に変更された場合です。
このような変動は、社会保険料の算定基礎である標準報酬月額の見直しを必要とします。

2: 標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合

標準報酬月額とは、企業から受け取る給与の総額を保険料額表の等級に基づいて分類したもので、昇給や降給によりこの等級が2つ以上変化した場合に随時改定が適用されます。

3: 3カ月とも支払基礎日数が17日以上である場合(短時間労働者は11日以上)

支払基礎日数とは、給与を支払うための基本となる労働日数であり、これが3カ月連続して17日以上(特定適用事業所の場合は11日以上)である必要があります。

昇給・降給は何月が多いのか

昇給・降給が最も多く行われる時期は、一般的に4月です。
この時期に給与改定が行われる背景にはいくつかの要因があります。

1: 新卒者の入社

日本では多くの企業が新卒採用を4月に行います。
このため、新卒者が入社するタイミングで、初任給や昇給の基準を定めることが一般的です。
企業は新入社員の給与水準を基準に、全体の給与体系を見直すことがあります。

2: 事業年度の始まり

多くの企業の事業年度は4月からスタートします。
この時期に給与改定を行うことで、新しい事業計画や目標に基づいて給与体系を調整し、組織全体のモチベーションを高めることが狙いです。
企業は前年度の業績を踏まえて、昇給の可否や幅を決定します。

3: 勤続年数に応じた昇給

一般的に、企業は従業員の勤続年数に応じて昇給を行うことがあります。
特に入社から数年経過した従業員に対して、4月に昇給を行うことが多いです。
これは従業員のモチベーションを維持し、企業への忠誠心を促進するためです。

4: 業績評価に基づく給与改定

企業は定期的に業績評価を行い、それに基づいて従業員の給与を決定します。
特に4月には前年度の業績を総括し、業績に応じた昇給や賞与の支給を行うことがあります。
これにより従業員に対する評価と報酬の公正性を確保します。

結果として、4月は給与改定のタイミングとして最も重要な月と位置付けられています。
従業員と企業の双方にとって、新たな一年のスタートをきっかけにした給与体系の見直しと調整が行われる時期となっています。

随時改定における注意すべきポイント

随時改定を行う際には、以下のポイントに特に注意する必要があります。

1: 固定的賃金のみ対象

随時改定では、昇給や降給によって固定的賃金が変動した場合に対象となります。
固定的賃金とは基本給や固定手当などであり、これらが変化した場合に随時改定の対象となります。
一方で、非固定的賃金(残業手当や賞与など)は対象外ですので、区別することが重要です。

2: 標準報酬月額の上限または下限に該当する場合の判定

標準報酬月額が上限に該当している場合、2等級以上の差があるという判定が困難になります。
給与計算ソフトを使用している場合、ソフトが自動的に判定することがありますが、その結果が正確であるかどうかを確認するためには目視での確認が重要です。
特に、給与計算ソフトの設定や変更が適切に行われているかを定期的に確認することが求められます。

3: 随時改定の手続きの失念

随時改定は定時決定とは異なり、特定の個別の状況に応じて手続きが必要となります。
これは昇格や昇進、または業務内容の変更に伴う給与の変動が生じた場合に随時改定を実施する必要があることを意味します。

そのため、担当者が定時改定とは異なる手続きの内容やタイミングを正確に把握し、適切に対応することが重要です。

まとめ

給与の管理は組織運営において欠かせない要素です。
昇給と降給は、従業員と組織の持続可能な成長を支える重要なツールであり、適切な評価と透明性の確保が求められます。

随時改定における注意点を理解し、社会保険料の計算においても正確性を保つことは、従業員の信頼を築き、組織の安定性を高められます。
給与体系の適切な運用と管理は、組織の持続的な発展に不可欠な要素であると言えるでしょう。

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