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労働協約とは?労使協定との違いや優先順位をわかりやすく解説

2024.08.15 社労士コラム

労働協約は、労働組合と使用者との間で締結される、労働条件に関する重要な合意です。
労働組合の役員や人事担当者など、労働協約の内容を理解し、労働組合と使用者間の関係を円滑に進めたいと考えている方は多いのではないでしょうか。

この記事では、労働協約とは何か、労使協定との違い、優先順位、締結方法、拡張適用などの基礎知識をわかりやすく解説することで、労働組合と使用者間の関係を円滑に進めるためのヒントを提供します。

労働協約とは?労使協定との違い

労働協約は、労働組合と使用者との間で交渉され、合意された労働条件に関する規程、およびそれらの規程を記載した文書のことです。
一方、労使協定は、業務上の理由でやむを得ず労働基準法の範囲を超えた労働条件を定める際に、労働者と使用者との間で締結する取り決めのことです。
両者は、法的効力を持つ点では共通していますが、いくつかの重要な違いがあります。

1:法的効力と適用範囲

労働協約は、労働組合法において「規範的効力」と「債務的効力」が認められています。
「規範的効力」とは、労働協約の内容が労働組合の組合員だけでなく、同じ職種や事業場で働く非組合員にも適用される可能性があることを意味します。
「債務的効力」とは、労働協約を締結した当事者に対して、労働条件を遵守する義務が生じることを意味します。

一方、労使協定は、労働基準法の範囲内で、特定の労働条件を調整するための合意です。
そのため、労働協約よりも法的効力が弱く、適用範囲も労働協約を締結した事業場や職種に限定されます。

2:優先順位

労働協約と労使協定が矛盾する場合、優先順位は労働協約が上になります。
これは、労働協約が労働者の労働条件の改善を目的とした、より上位の合意であるためです。

3:締結当事者

労働協約の締結当事者は、労働組合と使用者です。
労働組合は、多数組合(過半数組合)や少数組合(過半数以下、または相対的に少数の組合)にかかわらず、すべての労働組合が締結権限を持ちます。
使用者側は、使用者や団体です。
労使協定の締結当事者は、労働組合が原則です。
ただし、労働組合が存在しない場合は、労働者による選出で過半数を獲得した代表者が締結当事者となります。
使用者側の締結当事者は、使用者です。

労働協約の締結と拡張適用

労働協約の締結には、いくつかの要件があります。
まず、労働組合と使用者の両当事者の合意が必要です。
合意が成立したら、書面で作成し、両当事者が署名または押印を行います。

労働協約には、有効期間を定める場合と、有効期間を定めずに締結する場合の2つがあります。
有効期間を定めて締結したときの有効期間は最長3年までとされており、有効期間の満了とともに失効します。
有効期間を定めずに締結したときは、90日前に書面で予告すれば一方から労働協約の解約を行えます。

1:拡張適用とは

拡張適用とは、一定の条件を満たしている場合、組合員以外の労働者にも労働協定の権利を適用することです。
労組法第17条では「一般的拘束力」と表されています。
特定の工場や事業場で働く労働者数のうち、4分の3以上が同じ労働協約のもとで働いている場合、残りの非組合員の労働者にも同じ条件を自動的に適用されるのです。

2:拡張適用の条件

拡張適用には、いくつかの条件があります。

・労働協約の対象となる事業場における労働者数の4分の3以上が、労働協約の適用を受けていること。
・労働協約の内容が、労働基準法に違反していないこと。
・労働協約が、公序良俗に反していないこと。

3:拡張適用のメリット

拡張適用には、以下のようなメリットがあります。

・非組合員の労働者も、労働協約の恩恵を受けることができる。
・労働条件の統一化が図られ、労働紛争の発生を抑制できる。
・労働組合の組織化を促進できる。

まとめ

労働協約は、労働組合と使用者との間で締結される、労働条件に関する重要な合意です。
労働協約は、労働者の権利や福祉を守り、より良い労働条件を獲得するために不可欠です。
本記事では、労働協約の基礎知識を解説しました。
労働組合の役員や人事担当者は、労働協約の内容を理解し、労働組合と使用者間の関係を円滑に進めるために、本記事で解説した内容を参考にしてくださいね。

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