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管理監督者は残業代を請求できる?管理監督者と認められる要件とは?

2024.08.14 社労士コラム

管理監督者の定義と判断基準については、多くの企業が直面する重要な課題です。
特に、労働法に詳しくない経営者や人事担当者にとって、自社の管理職が管理監督者として認められるかどうかを理解することは、未払い残業代請求のリスクを回避するために非常に重要です。
本記事では、管理監督者と認められる要件と、万が一未払い残業代請求があった場合の対応策について具体的に解説します。

管理監督者と認められる要件とは?

管理監督者として認められるためには、労働基準法上の厳しい要件を満たす必要があります。
以下では、労働時間、職務内容、待遇の観点から具体的に解説します。

1: 労働時間の制約がないこと

管理監督者は、労働基準法第41条に基づき、労働時間、休憩、休日の規定が適用されません。
つまり、出退勤についての管理を受けず、自分の裁量で勤務時間を決定できる必要があります。
例えば、始業に遅れた場合でも遅刻扱いされないことが重要です。

2: 経営に関与する職務内容

管理監督者は、経営者と一体の立場で企業全体の経営に関与する必要があります。
具体的には、人材採用や部下の人事考課の権限を持ち、重要な経営判断に参与することが求められます。
単なる部下への指示伝達や上司の決裁が必要な業務だけでは「管理監督者」とは認められません。

3: 高い待遇と年収

管理監督者は、その職務の重要性から、一般の従業員とは明確に区別される高い待遇が必要です。
例えば、役職手当が付与されている場合でも、それが一般従業員と大差ない場合や、残業代を含めた部下の給与が上回るようなケースでは「管理監督者」としての待遇がなされているとは言えません。

これらの要件を満たさない場合、自社の管理職が「名ばかり管理職」としてトラブルに発展する可能性があるため、実態をしっかり確認することが必要です。

管理監督者から未払い残業代請求があった場合の対応

もし管理監督者から未払い残業代請求があった場合、どのように対応すべきか具体的な解決策を提示します。

1: 管理監督者に該当するかどうかの見直し

まずは管理監督者としての要件を満たしているかを再確認します。
組織における地位や役職、業務内容、権限、出退勤の状況、給与額などを総合的に検討し、管理監督者として主張できるかどうかを判断します。

2: 争うべきポイントの明確化

管理監督者としての要件を満たしていない場合、実労働時間や不就労時間に関する証拠を収集し、未払い残業代の請求に対して争うポイントを明確にします。
例えば、労働時間の記録や目撃証言などを用いて、適切な対応を検討します。

3: 制度設計の見直し

管理監督者の一人から未払い残業代請求があった場合、他の管理監督者の取り扱いも見直す必要があります。
労働時間の管理状況を把握し、必要に応じて管理職の時間管理制度を再設計することが重要です。

未払い残業代請求があった場合には、迅速かつ適切な対応が求められます。
また、今後のリスク回避のためにも、管理監督者の判断基準を明確にし、制度設計を見直すことが重要です。

まとめ

本記事では、管理監督者と認められる要件と、未払い残業代請求があった場合の対応について解説しました。
管理監督者として認められるためには、労働時間の制約がないこと、経営に関与する職務内容、高い待遇と年収の要件を満たす必要があります。
万が一、未払い残業代請求があった場合には、管理監督者に該当するかどうかの見直し、争うべきポイントの明確化、制度設計の見直しが必要です。
適切な対応とリスク回避のために、この記事を参考にしていただければ幸いです。

 

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