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所得税の計算方法をわかりやすく解説!申告で失敗しないための基礎知識

2024.08.06 社労士コラム

確定申告で所得税を自分で計算しなければならない、でも複雑な計算方法に不安を感じている個人事業主やフリーランスの方も多いのではないでしょうか。

「所得税の計算って、一体どうすればいいの。」
「申告で何か間違えてしまったらどうしよう…」

そんな悩みをお持ちのあなたのために、この記事では所得税の計算方法をわかりやすく解説します。
申告で失敗しないための基礎知識をしっかりと身につけ、安心して適正な税金を納められるように、具体的な計算手順や注意点などを詳しく解説していきます。

所得税とは?

所得税は、私たちが得た所得に対して課せられる税金です。
所得が多いほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されており、会社員は給与から天引きされ、個人事業主は確定申告によって自分で計算し納付します。

1: 所得税の仕組みを理解する

所得税は、私たちの収入から生活費や事業費などを差し引いた「所得」に対して課せられます。
所得には、給与所得、事業所得、不動産所得など様々な種類がありますが、今回は個人事業主やフリーランスの方にとって最も身近な「事業所得」に焦点を当てて解説していきます。
事業所得とは、個人事業主やフリーランスの方が、事業活動によって得た所得のことです。
具体的には、売上収入から事業にかかった経費を差し引いた金額が事業所得となります。
例えば、飲食店経営者であれば、売上収入から仕入れ代、人件費、家賃などを差し引いた金額が事業所得となります。

2: 所得税の税率について

所得税の税率は、所得金額によって7段階に区分されています。
所得が多いほど税率が高くなる仕組みです。

| 所得金額(万円) | 税率(%) |
| 195万円以下 | 5 |
| 195万円超~330万円以下 | 10 |
| 330万円超~695万円以下 | 20 |
| 695万円超~900万円以下 | 30 |
| 900万円超~1,800万円以下 | 40 |
| 1,800万円超~ | 45 |

例えば、年間の所得が500万円の場合、330万円を超える部分には20%の税率が適用されます。
つまり、330万円までは10%の税率が適用され、330万円を超える200万円には20%の税率が適用されるため、所得税額は(330万円 × 10%) + (200万円 × 20%) = 73万円となります。

3: 会社員と個人事業主の違い

会社員の場合、給与所得は会社によって源泉徴収されます。
これは、会社が給与からあらかじめ所得税を計算して納付してくれる制度です。
そのため、会社員は自分で所得税を計算する必要はありません。
一方、個人事業主は、確定申告によって自分で所得税を計算し納付する必要があります。
確定申告は、1年間の事業所得を計算し、税務署に申告する手続きです。
個人事業主は、会社員と異なり、給与から所得税が天引きされないため、自分で所得税を計算し、納付する必要があります。

所得税の計算方法

所得税の計算方法は、「課税所得金額×税率-控除額」というシンプルな式で表すことができます。
しかし、実際には、課税所得金額や控除額の計算が複雑で、理解しにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。

【計算手順を詳しく解説】

所得税を正しく計算するためには、以下の手順で進めていく必要があります。

1.年間の収入を計算する

これは、個人事業主であれば年間の売上、会社員であればボーナスなどを含めた年間の給与の総額です。
売上や給与は、収入の根拠となる重要な要素です。
正確に把握しておくことが、所得税の計算を正確に行うための第一歩となります。

2.収入から経費を差し引く

個人事業主であれば、人件費、家賃、仕入れ代などの事業にかかった費用を差し引きます。
会社員であれば、給与所得控除を差し引きます。
給与所得控除は、給与収入によって控除額が決まっており、国税庁のWEBサイトで確認できます。
経費は、事業を行うために必要となる費用であり、収入から差し引くことで、事業所得を算出することができます。
経費の項目は、事業内容によって異なりますので、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

3.所得控除額を差し引く

所得控除は、個人の事情に合わせて税負担を軽減するための制度です。
基礎控除、扶養控除、医療費控除など、様々な種類の控除があります。
所得控除は、個人の事情によって適用できる控除が異なります。
例えば、配偶者や扶養家族がいる場合は扶養控除が適用され、医療費が一定額を超えた場合は医療費控除が適用されます。

4.課税所得金額に税率をかける

3.で計算した課税所得金額に、所得税率を掛けます。
所得税率は、先ほど紹介した税率表を参照してください。
課税所得金額とは、所得から控除額を差し引いた金額です。
課税所得金額に税率を掛けることで、所得税額を算出することができます。

5.税額控除を差し引く

税額控除は、所得税額から一定の金額を差し引ける制度です。
配当控除、寄附金控除、住宅借入金特別控除など、様々な種類の控除があります。
税額控除は、所得税額から直接差し引くことができるため、税負担を軽減する効果が大きいです。

6.所得税額を計算

5.で計算した金額が、最終的に納めるべき所得税額です。
所得税額は、所得税の計算結果であり、納税義務が発生する金額です。

【例題で理解を深める】

具体的な計算方法を理解するために、例題を使って説明します。
仮に、年間の収入が500万円、経費が200万円、所得控除額が100万円、税率が20%、税額控除が5万円だったとします。

1. 年間の収入:500万円
2. 収入から経費を差し引く:500万円 – 200万円 = 300万円
3. 所得控除額を差し引く:300万円 – 100万円 = 200万円(課 税所得金額)
4. 課税所得金額に税率をかける:200万円 × 20% = 40万円
5. 税額控除を差し引く:40万円 – 5万円 = 35万円

この場合、納めるべき所得税額は35万円となります。

復興特別所得税の計算方法

2037年までは、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するため、所得税に加えて復興特別所得税が課せられます。

1: 復興特別所得税の仕組み

復興特別所得税は、所得税額の2.1%です。
つまり、通常の所得税額に加えて、その2.1%の金額を計算し、合わせて納付する必要があります。
復興特別所得税は、所得税額の一定割合を徴収する仕組みです。
この税収は、東日本大震災の被災地の復興のために使われます。

2: 復興特別所得税の計算例

例えば、所得税額が50万円の場合、復興特別所得税は50万円 × 2.1% = 1万500円となります。
復興特別所得税は、所得税額の2.1%なので、所得税額が50万円であれば、復興特別所得税は1万500円となります。

3: 復興特別所得税の納付について

復興特別所得税は、通常の所得税と併せて納付します。
確定申告の際に、所得税額と復興特別所得税額を合わせて申告します。
復興特別所得税は、所得税と同時に納付する必要があるため、確定申告の際に忘れずに申告することが重要です。

源泉徴収の仕組み

源泉徴収は、給与や報酬を受け取る際に、あらかじめ所得税を差し引いて納付する制度です。

1: 源泉徴収の義務者

源泉徴収を行う義務があるのは、給与や報酬を支払う個人または法人です。
会社員などの給与所得者の場合は、会社が給与から所得税を源泉徴収し、国に納付します。
個人事業主が従業員を雇用している場合も、源泉徴収義務が発生します。
源泉徴収は、給与や報酬を支払う側が、代わりに所得税を計算し、納付する制度です。
そのため、給与や報酬を受け取る側は、自分で所得税を計算する必要はありません。

2: 源泉徴収の計算方法

源泉徴収の計算方法は、所得税の計算方法とほぼ同じです。
ただし、源泉徴収では、給与などの支払者が代わりに計算し、納付を行います。
源泉徴収は、所得税の計算方法を簡素化し、納税者の負担を軽減するための制度です。
給与などの支払者は、給与から所得税を源泉徴収し、国に納付することで、納税者の代わりに所得税の計算と納付を行います。

3: 源泉徴収票の確認

源泉徴収票は、給与や報酬を受け取る際に、支払者から渡される書類です。
源泉徴収票には、源泉徴収された所得税額などが記載されています。
確定申告を行う際には、源泉徴収票を必ず保管しておきましょう。
源泉徴収票は、確定申告を行う際に必要となる重要な書類です。
源泉徴収票には、源泉徴収された所得税額や控除額などが記載されているため、確定申告の際に正確な申告を行うために必要です。

まとめ

この記事では、所得税の計算方法について、詳しく解説しました。

所得税の計算方法は、一見複雑に見えるかもしれませんが、手順をしっかりと理解すれば、誰でも正しく計算することができます。
特に、個人事業主やフリーランスの方にとって、確定申告は重要な手続きです。
この記事で学んだ知識を活かし、安心して申告を行い、適正な税金を納められるようにしましょう。

また、所得税は常に制度改正が行われる可能性があります。
最新の情報を常に把握しておくことが大切です。
国税庁のホームページなどで、最新の情報を確認するようにしましょう。

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