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1分単位で計算しないと違法になることも?勤務時間の計算方法を解説!

2024.08.20 社労士コラム

勤務時間計算は、従業員の給与計算や勤怠管理において非常に重要な要素です。
しかし、労働時間に関する法律やルールは複雑で、1分単位での計算が求められるなど、正しく理解していないと、従業員とのトラブルにつながる可能性も。

正しく勤務時間を計算することで、従業員に適切な賃金を支払い、労働時間に関するトラブルを回避できます。
そこで今回は、従業員の給与計算や勤怠管理に携わる方に向けて、勤務時間計算の基本から、タイムカード、エクセル、勤怠管理システムといったさまざまな計算方法、さらには1分単位での計算の必要性や残業時間の計算方法まで解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、勤務時間計算に関する知識を深めてください。

勤務時間とは?計算方法の基本を理解しよう

勤務時間とは、従業員が会社に出勤してから退勤するまでの時間のことです。
しかし、勤務時間と労働時間には明確な違いがあります。

1: 勤務時間と労働時間の定義

勤務時間とは、会社に出勤してから退勤するまでの時間です。
休憩時間も含みます。
労働時間とは、勤務時間から休憩時間を除いた、実際に働いた時間です。

2: 労働時間計算の基本ルール

労働時間 = 勤務時間 – 休憩時間

3: 休憩時間のルール

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩時間を取得することが義務付けられています。
休憩時間は労働時間とはみなされず、給与の支払対象とはなりません。

4: 法定労働時間

法定労働時間とは、労働基準法で定められた1日の労働時間の上限です。
原則として、1日8時間、週40時間となっています。
法定労働時間を超えて労働させる場合は、残業代を支払う必要があります。

5: 所定労働時間

所定労働時間とは、会社が就業規則や雇用契約書で定めた労働時間のことです。
所定労働時間は、法定労働時間を超えることはできません。

6: 例:勤務時間と労働時間の計算

・勤務時間:9時00分~18時00分(9時間)
・休憩時間:12時00分~13時00分(1時間)
・労働時間:9時間 – 1時間 = 8時間

上記を踏まえて、勤務時間計算の基本的なルールを理解することが重要です。

勤務時間の計算方法とは?それぞれの特徴をご紹介

勤務時間計算には、さまざまな方法があります。
以下では、代表的な3つの方法について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

1: タイムカード

タイムカードは、従業員が出勤時と退勤時にカードを打刻することで、勤務時間を記録する伝統的な方法です。

メリットは以下の通りです。

・導入コストが比較的安価
・操作が簡単で誰でも使いやすい

デメリットは以下の通りです。

・手作業での計算が必要なため、誤りや不正が発生しやすい
・管理が煩雑になりがち
・時間の端数を切り捨てたり、不正な打刻が行われたりといった問題が発生する可能性がある

2: エクセル

エクセルは、表計算ソフトを用いて勤務時間計算を行う方法です。

メリットは以下の通りです。

・導入コストが無料
・関数を利用することで自動計算が可能
・柔軟な管理が可能

デメリットは以下の通りです。

・入力作業が煩雑
・データの入力ミスが発生しやすい
・法改正などに対応する際に、手作業での修正が必要になる場合がある

3: 勤怠管理システム

勤怠管理システムは、クラウド上で勤務時間や休暇などを管理できるシステムです。

メリットは以下の通りです。

・自動計算で正確な勤務時間を算出
・勤怠データの管理が効率化
・スマホアプリと連携することで、外出先でも勤怠管理が可能
・法改正や労働時間管理に関する最新の情報に自動で対応

デメリットは以下の通りです。

・導入コストが高い
・システムの操作に慣れる必要がある

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあります。
自社の規模や従業員の状況に合わせて、最適な方法を選択することが大切です。

1分単位で計算しないと違法になるケースも!

労働基準法では、賃金全額払いの原則が定められています。
これは、1分単位の労働に対しても、その対価を支払う必要があることを意味します。
つまり、労働時間を切り捨てて給与計算を行うことは、原則として違法です。

1: 1分単位計算の必要性

労働基準法第24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と明記されています。
この条文から、労働時間1分であっても、全額を支払う必要があると解釈されています。

2: 労働時間の切り捨ては違法

労働時間1分単位の計算を怠り、従業員にとって不利なように、労働時間を切り捨てて給与計算を行った場合は、労働基準法違反となる可能性があります。
労働基準監督署から是正勧告を受けるだけでなく、罰金や懲役刑が科せられることもあります。

3: 1分単位計算の例外

一部の端数処理については、労働時間の切り捨てが認められるケースがあります。
例えば、残業時間の合計時間に対して、30分未満は切り捨て、30分以上は繰り上げることが許容されています。

4: 労働時間計算の正確性

労働時間計算の正確性は、従業員の労働条件に関わる重要な問題です。
従業員とのトラブルを防ぐためにも、正確な計算方法を理解し、適切な処理を行うことが不可欠です。

残業時間の正しい計算方法を理解しよう

残業代は 、法定労働時間を超えて働いた時間に対して支払われる賃金です。
残業代の計算方法を正しく理解していないと、従業員とのトラブルにつながる可能性があります。

1: 残業時間の計算方法

残業時間 = 労働時間 – 所定労働時間

2: 残業代の計算方法

残業代 = 1時間あたりの基礎賃金 × 残業時間 × 割増率

3: 1時間あたりの基礎賃金の計算方法

時給制の場合は、時給がそのまま1時間あたりの基礎賃金となります。
月給制の場合は、月給を月の平均所定労働時間で割ることで1時間あたりの基礎賃金を計算します。

4: 割増率

残業代の割増率は、労働時間帯によって異なります。
通常の残業時間(法定時間外労働)は、1.25倍の割増率が適用されます。
深夜労働(22時~翌5時)は、1.25倍に加えて25%の割増率が加算され、合計1.5倍の割増率となります。

5: 残業時間の端数処理

残業時間の端数処理は、労働基準法では1分単位での計算が原則です。
しかし、1ヶ月の残業時間の合計時間に対しては、30分未満は切り捨て、30分以上は繰り上げることが許容されています。

まとめ

この記事では、勤務時間計算の基本から、タイムカード、エクセル、勤怠管理システムといったさまざまな計算方法、さらには1分単位での計算の必要性や残業時間の計算方法まで、解説しました。

勤務時間計算は、従業員の給与計算や勤怠管理において非常に重要な要素です。
正確な計算方法を理解し、適切な処理を行うことで、従業員に適切な賃金を支払い、労働時間に関するトラブルを回避できます。
この記事を参考にして、自社の勤務時間計算を見直し、従業員との信頼関係を築いていきましょう。

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