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懲戒解雇の手続きとは?解雇の理由や会社側のメリット・デメリットまで解説!

2024.08.22 社労士コラム

懲戒解雇の手続きとは?解雇の理由や会社側のメリット・デメリットまで解説!

会社で働く上で、懲戒解雇という言葉は耳にする機会もあるかもしれません。
しかし、実際にどのようなものなのか、どのような手続きが必要なのか、会社側・従業員側のメリット・デメリットは何か、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。

懲戒解雇は、会社が従業員との労働契約を一方的に解消する重い処分であり、従業員が重大な規律違反や企業秩序違反を犯した場合に行われます。
懲戒解雇は、懲戒処分の中でも最も重い制裁であり、退職金の不支給または減額を伴うケースも多いです。

今回は、懲戒解雇の理由、手続き、会社側・従業員側のメリット・デメリットについて解説します。

懲戒解雇とは何か?

懲戒解雇は、会社が従業員に対して行うことができる最も重い処分の一つです。
従業員が会社に対して重大な規律違反や企業秩序違反を犯した場合に、会社が一方的に労働契約を解消する行為です。

懲戒解雇は、会社にとって従業員との関係を断ち切る手段として、従業員にとってはその後の生活を大きく左右する可能性のある処分です。

懲戒解雇の目的

懲戒解雇は、従業員の規律違反や企業秩序違反に対する制裁として行われます。
その目的は、以下の二つに集約されます。

1. 規律違反や企業秩序違反を犯した従業員に対して、厳正な処分を行うことで、他の従業員に対する抑止力となること。

2. 会社の秩序や信用の維持を図ること。

懲戒解雇の法的根拠

懲戒解雇は、労働基準法や労働契約法などの法律に基づいて行われます。
労働基準法では、解雇事由として、業務上の必要性、従業員の責めに帰すべき事由などが挙げられています。

懲戒解雇は、従業員の責めに帰すべき事由に該当する場合に行うことが認められています。

懲戒解雇と退職金

懲戒解雇の場合、退職金の不支給または減額がされるケースが多いです。
退職金の支給については、就業規則や労働協約で定められていることが一般的です。

就業規則や労働協約で退職金の不支給または減額が定められている場合、懲戒解雇によって退職金が支給されないケースもあれば、減額されるケースもあります。

しかし、懲戒解雇が有効であれば退職金請求権を否定できるとされた判例もあり、実際に退職金が支給される場合もあります。

 

どのような場合に解雇になるのか?

懲戒解雇は、従業員の重大な規律違反や企業秩序違反を理由に行われます。
具体的には、以下の様な行為が挙げられます。

1: 業務上横領

業務上横領とは、従業員が業務中に会社から預かったお金や物品を不正に持ち逃げすることです。
会社にとって、従業員による業務上横領は、重大な損失につながるため、懲戒解雇の対象となるケースが多いです。

2: 重要な業務命令の拒否

従業員は、会社から指示された業務を遂行する義務があります。
しかし、業務命令が違法であったり、従業員の安全を脅かすような内容であったりする場合は、拒否することが認められています。

ただし、正当な理由なく業務命令を拒否した場合、懲戒解雇の対象となる可能性があります。

3: 無断欠勤

従業員は、会社に連絡をし、正当な理由なく勤務を怠った場合、無断欠勤とみなされます。無断欠勤は、会社にとって業務の遂行を阻害する行為であり、懲戒解雇の対象となるケースが多いです。

4: セクハラ

セクハラとは、従業員が職場で性的な言動によって、他の従業員に不快感を与えたり、労働環境を悪化させたりする行為です。
セクハラは、会社にとって重大な問題であり、懲戒解雇の対象となる可能性があります。

5: パワハラ

パワハラとは、従業員が職場で、上司や同僚などから、職務上の地位や人間関係などの優位性を利用して、精神的または肉体的な苦痛を与えられる行為です。
パワハラは、会社にとって深刻な問題であり、懲戒解雇の対象となる可能性があります。

6: 経歴詐称

経歴詐称とは、従業員が就職活動や転職活動の際に、自分の経歴を偽って会社に就職することです。
経歴詐称は、会社にとって信頼関係を損なう行為であり、懲戒解雇の対象となる可能性があります。

会社と従業員の双方にどんな影響があるのか?

懲戒解雇は、会社と従業員の双方に大きな影響を与える、非常に重い処分です。

会社側の影響

会社にとって、懲戒解雇は、問題を起こした従業員と縁を切る手段として有効です。
しかし、懲戒解雇には、会社側にとってのリスクも存在します。

1. 懲戒解雇が最終的に無効になるリスク

懲戒解雇は、会社が一方的に労働契約を解消する処分ですが、その有効性は裁判で争われる可能性があります。
裁判の結果、懲戒解雇が無効と判断されるケースもあります。

2. 裁判になった場合の費用や労力の負担

懲戒解雇が有効かどうかを裁判で争う場合、会社は、裁判費用や弁護士費用などの経済的な負担が発生します。
また、裁判には時間と労力を要するため、会社にとって負担が大きくなります。

従業員側の影響

従業員にとって、懲戒解雇は、収入が途絶え 、退職金が不支給になる可能性があり、生活に大きな影響を与える可能性があります。

1. 収入の途絶

懲戒解雇により、従業員は会社から収入を得ることができなくなります。生活費の確保や住宅ローンなどの返済に困る可能性があります。

2. 退職金の不支給

懲戒解雇の場合、退職金が不支給になるケースが多いです。退職金は、従業員が長年会社に貢献してきた対価として支給されるものですが、懲戒解雇では、その権利が剥奪される可能性があります。

懲戒解雇で退職金は支給されるのか?

懲戒解雇の場合、退職金が支給されないケースが多いです。

1: 就業規則や労働協約による退職金の不支給

多くの会社では、就業規則や労働協約に、懲戒解雇の場合、退職金が支給されない、または減額される旨の規定が設けられています。

2: 懲戒解雇の有効性と退職金

懲戒解雇が有効であると判断された場合は、退職金の請求権は認められないとされています。
しかし、懲戒解雇が無効と判断された場合は、退職金の請求権は認められる可能性があります。

3: 退職金の支給に関する判例

懲戒解雇の場合、退職金の支給に関する判例は、会社にとって有利なものと、従業員にとって有利なものとがあります。

・会社にとって有利な判例

会社にとって有利な判例には、懲戒解雇が有効である場合、退職金請求権を否定できるとされた判例があります。

・従業員にとって有利な判例

従業員にとって有利な判例には、懲戒解雇が有効であったとしても、従業員の勤続年数や貢献度などを考慮して、退職金を支給すべきと判断された判例があります。

まとめ

懲戒解雇は、会社と従業員の双方に大きな影響を与える重い処分です。
会社は、懲戒解雇を行う前に、従業員が懲戒解雇事由に該当する行為を本当に犯したのか、慎重に判断する必要があります。
また、従業員は、懲戒解雇をされた場合、就業規則や労働協約、判例などを参考に、自分の権利を主張する必要があります。

懲戒解雇は、会社と従業員双方にとって、深刻な問題を引き起こす可能性のある処分です。懲戒解雇に関する理解を深め、万が一の際に冷静かつ適切な判断ができるように準備しておくことが重要です。

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