新着情報

フレックスタイム制の労使協定の締結:ポイントを押さえてスムーズな運用を実現

2024.09.07 社労士コラム

フレックスタイム制導入を検討している方は、労使協定の締結についてお悩みではありませんか。

フレックスタイム制は、従業員のワークライフバランス向上や生産性向上に繋がる有効な制度ですが、導入にあたっては、労使双方にとって納得のいく協定を締結することが重要です。

この記事では、フレックスタイム制導入に向けた労使協定の締結に必要な項目、および制度をスムーズに運用するためのポイントを解説します。

□フレックス労使協定の基礎知識

フレックスタイム制導入には、労働基準法に基づいた労使協定の締結が必須です。
労使協定は、企業と従業員が合意した労働条件を定めたもので、フレックスタイム制の導入・運用に関する具体的なルールを定める役割を担います。

1: 労使協定の締結方法

フレックスタイム制を導入する際には、労働基準法第32条の3に基づき、労働組合または従業員代表者との間で労使協定を締結する必要があります。

労働組合が存在する場合は、労働組合との間で協定を締結します。
労働組合が存在しない場合は、労働者の過半数を代表する者との間で協定を締結します。

2: 労使協定に盛り込むべき項目

フレックスタイム制の労使協定には、以下の項目を盛り込む必要があります。

・対象となる労働者の範囲
フレックスタイム制が適用される従業員の範囲を明確に定めます。
全従業員を対象とするのか、一部の部署や職種を対象とするのかなど、具体的な範囲を定める必要があります。

・清算期間
清算期間は、従業員が労働時間を調整できる期間のことです。
1か月や1週間など、期間の長さを定める必要があります。

・清算期間における総労働時間
清算期間中に従業員が労働しなければならない総労働時間を定めます。
この時間は、法定労働時間と同じかそれ以下にする必要があります。

3: 具体的な運用ポイント

フレックスタイム制をスムーズに運用するためには、労使協定に以下の項目を盛り込むことも有効です。

・休憩時間
休憩時間の開始時刻や終了時刻を定めることで、従業員の労働時間の管理を効率化することができます。

・フレックスタイム制の適用外時間帯
夏季休暇や年末年始など、フレックスタイム制を適用しない時間帯を定めることで、従業員の休暇取得を促進することができます。

・超過時間の取扱
従業員が総労働時間を超過した場合の取り扱い方を定めることで、残業時間の発生を抑え、従業員の負担軽減につなげることができます。

・不足時間の取扱
従業員が総労働時間に満たない場合の取り扱い方を定めることで、賃金トラブルを回避することができます。

・休日の取り扱い
従業員の休日取得を促進するために、休日の取り扱い方を明確に定めることが重要です。

□フレックス労使協定:より効果的な運用のためのポイント

フレックスタイム制は、従業員の働き方に関する柔軟性を高める一方で、運用には注意すべき点もいくつかあります。

1: コアタイムの設定

コアタイムは、従業員が必ず勤務しなければならない時間帯です。
コアタイムを設定することで、業務の効率性を高め、チームワークを維持することができます。

2: 労働時間の管理

フレックスタイム制導入によって、従業員の労働時間の管理が難しくなる可能性があります。
タイムレコーダーや勤怠管理システムなどを活用することで、労働時間の適切な管理を行い、残業時間の発生を抑えることが重要です。

3: 従業員の意識改革

フレックスタイム制導入によって、従業員の意識改革が必要です。
従業員が責任感を持って、自分の労働時間を管理し、効率的に業務を進めることができるように、適切な教育や研修を実施することが重要です。

4: 労働時間の記録

フレックスタイム制では、従業員が自分の労働時間を正確に記録することが重要です。
労働時間の記録は、賃金計算や残業時間の管理に必要となるため、従業員に労働時間の記録方法をしっかりと理解させ、正確な記録を行うように指導することが重要です。

5: コミュニケーション

フレックスタイム制導入によって、従業員同士のコミュニケーション不足が生じる可能性があります。
定期的なミーティングや情報共有などを通して、従業員間のコミュニケーションを促進し、チームワークを維持することが重要です。

6: トラブルへの対応

フレックスタイム制導入によって、労働時間に関するトラブルが発生する可能性があります。
トラブル発生時には、迅速かつ適切な対応を行うことで、従業員の不満や不安を解消し、円滑な運用につなげることが重要です。

7: 定期的な見直し

フレックスタイム制導入後は、定期的に制度を見直し、改善を行うことが重要です。
従業員の意見を参考に、制度の運用方法やルールを見直すことで、より効果的な制度に進化させることができます。

□まとめ

フレックスタイム制を導入する際には、労使協定の締結が必須となります。
労使協定には、対象となる従業員の範囲、清算期間、総労働時間などを明記する必要があります。

また、フレックスタイム制をスムーズに運用するためには、コアタイムの設定、労働時間の管理、従業員の意識改革など、様々な点に注意する必要があります。

フレックスタイム制導入は、従業員の働き方に関する柔軟性を高め、生産性向上に繋がる有効な制度です。
しかし、導入にあたっては、労使双方にとって納得のいく協定を締結し、適切な運用を行うことが重要です。
この記事が、みなさまのフレックスタイム制導入の参考になれば幸いです。

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所

こちらの内容もお勧めです