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固定残業代とは?導入メリット・デメリット、設定方法を解説
固定残業代制度は、近年多くの企業が採用していますが、正しい運用には注意が必要です。
本記事では固定残業代制度の概要やメリット・デメリット、設定時のポイントを解説します。
初心者でも理解しやすいよう、具体例やQ&A形式も交えてお届けします。
固定残業代とは?
固定残業代とは、一定時間分の残業手当をあらかじめ給与に組み込む制度です。
たとえば、月給30万円のうち5万円が固定残業代として30時間分の残業代に相当する、という形で運用されます。
主な特徴
実際の残業時間に関わらず、一定額が支払われます。
従業員にとって給与が安定する一方、未払いや不当な運用のリスクもあります。
固定残業時間制のメリット
企業と従業員の双方に、以下のメリットがあります。
企業側
- 人件費の予測が立てやすい:毎月の残業代が固定されるため、コスト管理が容易
- 給与計算の効率化:実際の残業時間に応じた計算を簡略化できる
従業員側
- 給与の安定性:忙しい月でも残業代が保証されるため収入が一定
- 交渉の簡略化:給与体系が明確で交渉しやすい
固定残業時間制のデメリット
一方で、注意点も存在します。
企業側
- 未払いリスク:固定残業時間を超えた分の支払いを怠ると法的問題に発展
- 透明性の欠如:従業員に制度の意図が伝わらない場合、不満が生じる
従業員側
- 過剰労働の可能性:固定分以上の残業が多い場合、労働環境が悪化する
- 給与が固定化される恐れ:残業が少ない月でも固定分が減らないため不公平感を感じることも
固定残業手当にはどこまで含まれる?
含まれるもの
- 法定時間外労働の割増賃金:基本給の125%
- 法定休日労働の割増賃金:基本給の135%
含まれないもの
- 深夜労働割増賃金(基本給の125%)
- 法定外休日の労働手当
固定残業代が認められる条件とは?
以下の条件を満たす必要があります。
明確な労使契約
固定残業代の対象時間数と金額を明記します。
就業規則や労働契約書での明示
従業員への説明責任を果たします。
適切な時間管理
超過分の残業代を支払う運用体制を構築します。
固定残業代の上限時間
法律上、時間外労働は月45時間・年360時間を上限とします。
特別条項付きの場合でも、月100時間未満、複数月平均80時間以内が条件です。
固定残業手当の就業規則への定め方
【記載例】
- 月給30万円(うち5万円は30時間分の固定残業代を含む)
- 固定時間を超える分は別途支給
固定残業代制度のトラブル事例
時間外手当未払い
超過分を支払わず、訴訟に発展する可能性があります。
制度説明不足
従業員の理解不足による不信感が高まります。
固定残業代設定時の計算方法
【計算例】
- 基本給:25万円
- 月の法定労働時間:160時間
- 残業手当:25万円 ÷ 160時間 × 1.25 × 残業時間数
固定残業時間を超えた場合の計算方法
超過分の時間外労働割増賃金を計算し、別途支払います。
例:30時間を超えた分の残業代=時給 × 1.25 × 超過時間。
固定残業時間制とフレックスタイム制の違い
固定残業代は時間外労働に対する手当であり、フレックスタイム制は柔軟な勤務時間を認める制度です。
それぞれ目的が異なるため混同に注意しなければいけません。
まとめ
固定残業代制度は、適切に運用すれば労使双方にメリットがありますが、設定や運用を誤るとトラブルの原因になります。
法律の要件を満たし、明確なルールを設けることが重要です。
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