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2024年度最低賃金引上げで企業はどうなる?影響と対策

2025.02.20 社労士コラム

2024年度、最低賃金が引き上げられました。
中小企業経営者の皆様にとって、この改定は経営戦略に大きな影響を与えるでしょう。
人件費増加、採用難、従業員の労働時間減少など、様々な課題が予想されます。
今回は、2024年度の最低賃金改定に関する情報と、具体的な対応策をご紹介します。

2024年度最低賃金引上げの現状と詳細

全国平均と都道府県別の最低賃金

2024年10月改定における全国加重平均最低賃金は1,055円となり、前年度から51円増加しました。
都道府県別では、東京都が1,163円、神奈川県が1,162円とトップを争い、多くの都道府県で50円程度の引き上げが行われました。
しかし、引き上げ額は都道府県によって異なり、徳島県では84円という大幅な引き上げが実施されました。
各都道府県の具体的な最低賃金については、厚生労働省の発表資料をご確認ください。

最低賃金の計算方法

最低賃金の計算方法は、時給、日給、月給のいずれの場合も、1時間当たりの賃金が最低賃金以上である必要があります。

・時給制の場合:時給が最低賃金額以上であれば問題ありません。

・日給制の場合:日給を1日の所定労働時間で割った金額が最低賃金額以上である必要があります。
諸手当は時間あたりに換算して加算します。

・月給制の場合:月給を1ヶ月の所定労働時間で割った金額が最低賃金額以上である必要があります。
諸手当のうち、最低賃金の対象となるもの(通勤手当や家族手当を除く)を考慮して計算します。

・出来高払い制の場合:賃金の総額を賃金算定期間中の総労働時間で割った金額が最低賃金額以上である必要があります。

複数の支払い方法が組み合わされている場合は、それぞれの方法で計算した金額を合計し、最低賃金と比較します。

最低賃金改定のスケジュールと今後の見通し

最低賃金の改定は毎年7~8月頃に目安額が決定され、10月頃に改定が実施されます。
2024年度は過去最高額の引き上げとなりましたが、政府は全国加重平均1,000円以上を目指しており、今後も引き上げが継続される可能性が高いです。

最低賃金引上げによる企業への影響と対策

人件費増加への対応策

最低賃金の引き上げは、企業の人件費増加につながります。
対応策としては、業務効率化によるコスト削減、価格転嫁、生産性向上のための設備投資などが考えられます。
従業員のスキルアップによる生産性向上も有効な手段です。

採用難への対応策

人件費増加は、採用活動における競争激化を招きます。
対策としては、魅力的な待遇の提示、積極的な採用活動、企業ブランドの向上などが挙げられます。

従業員の労働時間減少への対応策

最低賃金引き上げにより、扶養内で働く従業員が労働時間を減らす可能性があります。
対応策としては、業務の効率化、人員配置の最適化、柔軟な勤務形態の導入などが考えられます。

最低賃金法違反と罰則

最低賃金法違反には、最低賃金との差額の支払いと、50万円以下の罰金が科せられます。
契約内容に関わらず、最低賃金未満の賃金支払いは無効となります。
出来高払い、試用期間中であっても最低賃金は適用されますので、注意が必要です。

まとめ

2024年度の最低賃金引き上げは、中小企業にとって大きな課題と機会の両方をもたらします。
人件費増加への対応、採用難への対策、従業員の労働時間減少への対応を適切に行うことが重要です。
同時に、従業員のスキル向上や業務効率化による生産性向上を図り、この変化を事業発展の好機と捉えることが求められます。
最低賃金法の遵守も徹底し、罰則の対象とならないよう注意が必要です。
最低賃金に関する最新情報は、厚生労働省のウェブサイトなどを参照してください。

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