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休業手当と休業補償の違いとは?労働者が知っておきたい基礎知識

2025.04.28 社労士コラム

突然の休業。そんなとき、生活を守る手段として「休業手当」と「休業補償」があります。

名前は似ていても、それぞれの意味や適用場面は異なります。

本記事では、働く人なら誰でも知っておくべき「休業手当」と「休業補償」の違いや、受け取る条件、注意点についてわかりやすく解説します。

 

休業手当とは?会社都合による休業の救済策

「休業手当」は、会社の都合で労働者を働かせられない場合に支払われるお金です。

労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由によって労働者を休ませたとき、平均賃金の60%以上を支払う義務があるとされています。

 

たとえば、設備トラブルや業績悪化などにより、会社が休業を命じた場合がこれに当たります。

ポイントは、休業の原因が「会社側にあること」です。逆に、自然災害や感染症など不可抗力の場合は、この限りではありません。

 

また、休業手当はあくまで「就労意思があるのに働けなかった」場合に限られます。自己都合での欠勤には適用されない点も押さえておきましょう。

 

休業補償とは?労災による休業時の支援制度

一方で、「休業補償」は、労働中のケガや病気といった労災が原因で働けない場合に支給されます。

労働者災害補償保険法に基づき、労働基準監督署から支給される制度で、平均賃金の約80%(休業補償給付60%+特別支給金20%)が支給されます。

 

大きな特徴は、会社ではなく労災保険から給付されること。

たとえば、工事現場での事故や長時間労働による体調不良など、業務上の原因が明確な場合に適用されます。

 

休業補償を受けるには、医師の診断書や休業証明書の提出が必要です。さらに、休業が4日以上続く場合に限られるため、申請のタイミングにも注意が必要です。

 

具体例:ケース別で見る適用の違い

ケース1:会社の都合で工場が一時休止

 →労働者に責任がないため「休業手当」が発生。

 

ケース2:通勤中に事故に遭い入院

 →通勤災害として「休業補償」が適用される可能性あり。

 

ケース3:私用で長期休暇を取得

 →自己都合のため、どちらも支給対象外。

 

このように、原因と状況により、受け取れる補償の種類が異なる点が重要です。

 

まとめ

「休業手当」と「休業補償」は、似た言葉ですが、その意味と支給元、条件は大きく異なります。

前者は会社都合で働けないとき、後者は労災による休業時にそれぞれ適用されます。

 

突然の休業時に慌てないためにも、それぞれの制度を理解し、自分のケースに応じて正しく申請することが大切です。

働く人にとって、知っているだけで大きな安心につながる基礎知識。今こそ見直してみてはいかがでしょうか。

 

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