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【大阪難波の社労士】育児休業とはどのような制度?産休との違いも紹介

2024.02.26 スタッフブログ

大阪難波を中心に、全国規模で企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。

従業員の育児をサポートするのが育児休業ですが、具体的にどのような制度なのか気になっている担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。また産休との違いも知りたいところです。

本記事では育児休業とは何なのかについて、近年の改正内容や産休との主な違い、制度を運用する上での注意点と一緒に紹介します。

産休についてはこちらをご覧ください。

育児休業とは育児・介護休業法で定められた制度

育児休業とは育休とも呼ばれており、育児・介護休業法に基づく公的な制度です。従業員の定着や働きやすい職場環境づくりに影響する、重要なものといえます。

以下で、育児休業の全体像を見ていきましょう。

育児休業の概要

育児休業制度は、1972年に制定された勤労婦人福祉法による努力義務から始まりました。その後は女性公務員の一部を対象とした1975年の育児休業法、民間の労働者を対象とした育児休業等に関する法律を経て、女性の社会進出や核家族化の進行などを背景に、1995年に現在の育児・介護休業法となりました。

育児によって労働者が退職しないで済むよう、仕事と家庭の両立を図ることが主な目的です。

厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、育児休業の取得率は女性が86.7%(前回調査で89.5%)、男性が24.2%(前回調査で18.9%)でした。男性の取得者が多くなったことで、女性の取得率が下がったものと考えられます。

育児休業は法律で導入が義務付けられているため、対象となる従業員から取得の申し出があった場合は、必ず取得を認めなければいけません。

参照:参議院「《資料》介護休業制度と育児休業制度の比較表~ポスト・コロナ社会の課題となる介護休業制度~
参照:厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査

対象者

対象者は、1歳に満たない子を養育する男女の従業員です。正社員のほか、契約社員やパート、アルバイトも取得できます。

ただし、以下の要件に該当するケースでは取得が認められません。

  • 日々雇い入れられる者
  • 期間を定めて雇用される者で、申出時点において子が1歳6カ月に達する日までに、労働契約期間の満了が明らかである場合
  • 労使協定で定められた一定の労働者

労使協定で定められた一定の労働者には、次のような従業員が当てはまります。

  • 雇用されてから1年に満たない
  • 休業の申出の日から1年以内に、雇用関係が終了することが明らかである
  • 1週間の所定労働日数が2日以下である

上記のような対象外となる要件は、あらかじめ就業規則に明記した上で周知しておくとよいでしょう。

参照:厚生労働省「Ⅱ-1 育児休業制度

期間

育児休業の開始時期は、男性は出産日(出産予定日)から、女性は56日間の産後休業が終了してからです。

取得できる期間は、子どもが1歳になるまでが原則です。ただし「保育所がいっぱいで入所できない」といった理由があれば、最長2歳になるまで延長できます。延長の申請は半年ごとにします。

給与

育児・介護休業法では、給与の支払いについて定められていません。給与を支払うかどうかは勤務先によって異なるものの、給与の全額や一部を支払っている企業は少ないのが実際です。

ただし、以下のような一定の要件を満たした場合は、育児休業給付金(育休手当)が支給されます。

  • 雇用保険の被保険者である
  • 休業前の2年間で、就業日数11日以上の月が12カ月以上ある

雇用保険の被保険者が対象であるため、フリーランスや自営業者は支給されません。支給期間は、育児休業を取得している期間中です。子どもが1歳になるまで育児休業を取得する場合は、1歳になる誕生日の前々日までとなります。

給付金は2カ月ごとに支給され、実際の額は受給者の給与状況や育児休業を取得してからの日数によって、次のように異なります。

育児休業を取得してからの日数 支給額の計算式
180日以内 休業開始時の賃金日額×支給日数×67%
181日移行 休業開始時の賃金日額×支給日数×50%

休業開始時の賃金日額は「休業開始前6カ月間の賃金÷180日」で算出できます。また賃金は給与額面のことで、手取り額ではありません。

育児休業に関する近年の改正内容

育児・介護休業法は近年、何度かの改正がありました。主な改正内容は以下の通りです。

参照:厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイント

産後パパ育休の創設

男性が子どもの出生日から8週間以内に、4週間まで休みを取得できるのが、産後パパ育休(出生時育児休業)です。育児休業よりも柔軟で取得しやすく、出生直後に休みを取得したい男性のニーズを満たす目的で、2022年10月より設けられました。

育児休業とは別に取得できるのは、大きな魅力といえるでしょう。

育児休業の分割取得

従来、育児休業は原則として1回しか取得できませんでしたが、2022年10月からは2回に分割して取得できるようになりました。

ただし、分割取得できるのは、子どもが1歳になるまでです。1歳以降の分割取得はできません。

男性従業員の育児休業取得状況の公表義務

常時雇用している従業員が1,000人を超えた企業では、2023年4月より男性従業員の育児休業の取得状況を公表する必要があります。非公表による罰則はないものの、厚生労働大臣からの勧告対象となり、企業のイメージダウンにつながりかねません。

「育児休業等の取得割合」「育児休業等と育児目的休暇の割合」のいずれかを、自社ホームページや厚生労働省が運営している「両立支援のひろば」などで公表します。

育児休業と産休との違い

よく育児休業と同じものと思われがちなのが、産休です。産休は子どもを産んだ女性のみが取得でき、出産の準備期間である産前休業、産後の回復期間である産後休業に分けられます。

産休については「【知って得する】産前・産後休業の基礎知識「産休はいつから取れる?」」にて解説しているため、ぜひご覧ください。

育児休業をスムーズに運用するための注意点

育児休業は法律で定められた制度のため、対象となる従業員から取得希望があったときは、必ず応じなければいけません。制度をスムーズに運用するためには、以下で紹介する3つの注意点に気を付けましょう。

法改正に合わせて就業規則などを改訂する

育児休業やその他の休業制度の改正に合わせて、就業規則や労使協定などの改訂が求められます。

改訂項目の洗い出しや労使協定の締結、労働基準監督署への届出など手続きは多岐に渡るため、計画的に進めていかなければいけません。

制度の内容を周知する

従業員が適切に育児休業を取得し、退職といった不利益を被ることがないよう、制度の内容をわかりやすく周知することが大切です。

改正によって内容に変更があれば、その都度周知するのがよいでしょう。

取得しやすい職場環境をつくる

育児休業を取得すると、一般的に取得した従業員が抱えていた仕事を、他の従業員が担うこととなります。他の従業員に遠慮せずに、育児休業を取得できるような職場環境をつくることが欠かせません。

人材配置や業務分担を考えておくほか、あらかじめ不要な業務を廃止するなど、業務の効率化を図っておきましょう。

まとめ

育児休業とは育児・介護休業法で定められた制度で、従業員の仕事と子育ての両立を図り、退職を防ぐことが目的です。給与支払いの義務はありませんが、一定の要件を満たすと育児休業給付金(育休手当)の対象となります。

法改正の内容によっては、就業規則や労使協定などの改訂が求められるでしょう。従業員に不利益をもたらさないよう、最新の情報をキャッチしておくことが大切です。

社会保険労務士法人渡辺事務所は、大阪市中央区難波を拠点に全国対応しております。オンラインにも対応し、遠方の方もご利用可能です。育児休業の導入に必要な労働・社会保険手続き、就業規則の改訂などに応じているため、ぜひお気軽にご相談ください。

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