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就業規則と解雇の関係とは?解雇の種類と正当な解雇事由を解説

2024.08.24 社労士コラム

会社で働く上で、誰もが直面する恐れがあるのが「解雇」という問題です。
「もし自分が解雇されたらどうなるんだろう。」
「解雇されるには、どんな理由があるんだろう。」
このような不安や疑問を抱いている方も少なくないのではないでしょうか。

解雇は、労働者にとって非常に大きな影響を及ぼす出来事です。
経済的な困窮はもちろんのこと、精神的なダメージも大きく、将来のキャリアプランにも影響を与えかねません。

本記事では、就業規則と解雇の関係について、解雇の種類や正当な解雇事由、解雇される際の会社側の義務などを解説していきます。

解雇の種類を知っていますか?

解雇は、労働契約を一方的に解除する行為であり、労働者にとって大きな影響を及ぼすため、会社は慎重に判断する必要があります。

解雇には、大きく分けて3つの種類があります。
それぞれの解雇には、正当な理由が求められます。

1:普通解雇

従業員の能力不足や勤務態度不良など、従業員側の責任が認められる場合に行われます。

2:懲戒解雇

窃盗や暴力行為など、会社秩序を著しく乱す行為を行った場合に行われます。

3:整理解雇

会社が経営難に陥り、人員削減が必要になった場合に行われます。

これらの解雇は、それぞれ異なる要件を満たしている場合に行われるため、会社が一方的に解雇を行えるわけではありません。

解雇の種類別正当な解雇事由

解雇の種類別に、正当な解雇事由を見ていきましょう。

1:普通解雇

普通解雇は、従業員側の責任が認められる場合に行われる解雇です。
具体的には、以下の事由が挙げられます。

・能力不足や成績不振
・勤務態度不良や協調性の欠如
・無断欠勤や遅刻
・業務命令違反
・病気や怪我による就業不能

ただし、これらの事由がすべて解雇事由となるわけではありません。
会社は、従業員に対して、能力向上のための教育や指導、配置転換などの機会を与える必要があります。

また、病気や怪我による就業不能の場合には、休職や治療期間を与える必要があるなど、解雇に至るまでの経緯や状況を総合的に判断する必要があります。

2:懲戒解雇

懲戒解雇は、会社秩序を著しく乱す行為を行った場合に行われる解雇です。
具体的には、以下の事由が挙げられます。

・窃盗や横領などの犯罪行為
・暴力行為や暴言
・会社機密の漏洩
・顧客情報などの不正利用
・社内規則の重大な違反

懲戒解雇は、会社にとって最も重い処分であり、従業員側の責任が非常に重い場合にのみ認められます。
そのため、懲戒解雇を行う際には、十分な証拠に基づいて、厳格な手続きを踏む必要があります。

3:整理解雇

整理解雇は、会社が経営難に陥り、人員削減が必要になった場合に行われる解雇です。
具体的には、以下の要件を満たす必要があります。

・会社の維持・存続のために人員削減が必要であること
・解雇回避のための努力が尽くされていること
・解雇者の選定が合理的であること
・解雇手続きが適正であること

整理解雇は、従業員側の責任とは関係なく、会社側の都合で解雇が行われるため、厳格な要件が求められます。
会社は、整理解雇を行う際には、従業員との話し合いや、労働組合との協議など、十分な手続きを踏む必要があります。

不当解雇に繋がる解雇事由

解雇は、労働者にとって大きな影響を与えるため、会社は慎重に判断する必要があります。
正当な理由なく解雇を行った場合、不当解雇として無効とされ、会社は損害賠償を請求される可能性があります。

不当解雇となり得るケースをいくつか見ていきましょう。

1:能力不足や成績不振を理由とした解雇

能力不足や成績不振を理由に解雇する場合、会社は従業員に対して、能力向上のための教育や指導、配置転換などの機会を与えてきたことを証明する必要があります。

十分な指導や教育を行わずに、能力不足を理由に解雇した場合、不当解雇と判断される可能性があります。

2:勤務態度不良を理由とした解雇

勤務態度不良を理由に解雇する場合、会社は従業員に対して、具体的な改善を求める指導を行ってきたことを証明する必要があります。

単に口頭で注意をしただけで、改善が見られないことを理由に解雇した場合、不当解雇と判断される可能性があります。

3:病気や怪我を理由とした解雇

病気や怪我を理由に解雇する場合、会社は従業員に対して、休職や治療期間を与えるなどの配慮を行ってきたことを証明する必要があります。

休職や治療期間を与えることなく、解雇した場合、不当解雇と判断される可能性があります。

4:妊娠や出産を理由とした解雇

妊娠や出産を理由に解雇することは、労働基準法で禁止されています。
妊娠や出産を理由に解雇した場合、不当解雇と判断され、会社は損害賠償を請求される可能性があります。

5:労働組合への加入や活動を理由とした解雇

労働組合への加入や活動を理由に解雇することは、労働組合法で禁止されています。
労働組合への加入や活動を理由に解雇した場合、不当解雇と判断され、会社は損害賠償を請求される可能性があります。

解雇予告と解雇予告手当

解雇を行う際には、解雇予告や解雇予告手当の支払い義務が発生します。

解雇予告とは、会社が従業員を解雇する場合、少なくとも解雇 日の30日前に予告しなければならないという制度です。
解雇予告をせずに解雇した場合、会社は解雇予告手当を支払う必要があります。
解雇予告手当は、30日分の平均賃金に相当します。

ただし、以下の場合は、解雇予告や解雇予告手当の支払い義務が免除される場合があります。

・従業員の重大な責任による解雇
・天災などのやむを得ない事情による解雇
・試用期間中の解雇
・有期雇用契約の期間満了による解雇

解雇予告や解雇予告手当は、従業員が解雇によって生じる経済的な困窮を緩和するための制度です。
会社は、解雇を行う際には、これらの制度を遵守する必要があります。

まとめ

本記事では、就業規則と解雇の関係について、解雇の種類や正当な解雇事由、解雇される際の会社側の義務などを解説しました。

解雇は、労働者にとって大きな影響を与える出来事であり、会社は慎重に判断する必要があります。
解雇には、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇の3つの種類があり、それぞれ異なる要件を満たす必要があります。

また、病気や怪我による就業不能の場合には、休職や治療期間を与える必要があるなど、解雇に至るまでの経緯や状況を総合的に判断する必要があります。

解雇は、労働者の権利を侵害する可能性を孕んでいます。
従業員は、自分の権利や義務を理解し、安心して働けるように、就業規則の内容をしっかりと確認しておくことが重要です。

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