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給与の不利益変更で失敗しない!リスク管理と実施方法についてわかりやすく解説
給与の削減や労働条件の変更は、経営者にとって難しい決断です。
従業員のモチベーション維持と会社の存続、この両立は容易ではありません。
法令遵守はもちろんのこと、従業員との信頼関係を損なわず、円滑な変更を進めるためには、適切な手順と知識が不可欠です。
今回は、給与に関する労働条件の不利益変更について、法的根拠や具体的な方法、そしてリスク管理のポイントを分かりやすく解説します。
不利益変更給与の基礎知識
不利益変更とは何か
労働条件の不利益変更とは、賃金、労働時間、休暇、福利厚生など、従業員にとって不利益となる条件の変更を指します。
給与に関する不利益変更には、基本給の減額、手当の削減、賞与の支給停止、定期昇給の停止などが含まれます。
従業員全員ではなく、一部の従業員のみを対象とする変更も、不利益変更に該当する場合があります。
例えば、年功序列制から成果主義制への変更によって、一部従業員の給与が減額されるケースも含まれます。
給与に関する不利益変更の具体例
給与に関する不利益変更の具体例として、基本給の減額、各種手当の減額や廃止、退職金制度の改悪、定期昇給の停止などが挙げられます。
また、出張旅費の支給条件の変更(例えば、日帰り出張の旅費支給を廃止するなど)も不利益変さらに該当する可能性があります。
これらの変更は、従業員にとって経済的な負担増加につながるため、慎重な対応が必要です。
不利益変更を行う際の法的根拠
労働契約法では、使用者は労働者と合意することなく、就業規則の変更によって労働者の不利益となる労働条件を変更することはできません。
ただし、例外として、就業規則変更による変更や、労働協約による変更、人事考課に基づく変更、降格に伴う変更などが認められています。
これらの例外についても、合理性や周知徹底など、一定の要件を満たす必要があります。
個別同意の重要性と注意点
原則として、労働条件の不利益変更さらには、従業員一人ひとりの個別同意が必要です。
この同意は、口頭ではなく、書面で行う必要があります。
同意書を作成する際には、変更内容やその必要性を明確に記載し、従業員に十分な説明を行うことが重要です。
特に、賃金や退職金に関する変更は、不利益の程度が大きいため、同意が有効と認められるかどうかの判断が厳しくなります。
同意を得る際には、従業員の自由な意思に基づいていることを確認するために、面談記録を残すなど、証拠をしっかりと残しておくことが重要です。
不利益変更給与の実施方法とリスク管理
就業規則変更による不利益変更
就業規則を変更して不利益変更を行う場合は、変更に合理性があり、変更後の就業規則を従業員に周知徹底する必要があります。
合理性の判断は、変更の内容によって異なります。
賃金や退職金の減額は、特に厳しい基準が適用されます。
経営状況の悪化などのやむを得ない事情があり、十分な労使交渉を行った上で、変更の必要性を説明することが重要です。
労働協約による不利益変更
労働組合がある企業では、労働組合との労働協約によって労働条件の不利益変更を行うことができます。
労働協約は、会社と労働組合の間の書面による合意であり、個別の同意がなくても、組合員の労働条件を変更できます。
ただし、合意に至るまでの交渉過程を記録し、透明性を確保することが重要です。
人事考課に基づく給与変更
人事考課の結果に基づいて給与を変更する場合、人事考課の基準や手順が明確で、従業員に周知されている必要があります。
評価基準は事前に共有し、評価過程においては、公平性と透明性を確保する必要があります。
また、評価結果に基づく給与変更についても、事前に明確に示しておくことが重要です。
降格による給与変更
役職者の降格に伴う給与変更は、能力や勤務状況などを客観的に評価した上で、正当な理由に基づいて行う必要があります。
一方的な降格や、従業員の権利行使に対する報復的な措置として行われる降格は違法となります。
不利益変更におけるリスクと対策
不利益変更は、従業員の反発やモチベーション低下、訴訟リスクなどを伴います。
リスクを軽減するためには、変更の必要性を丁寧に説明し、従業員との十分なコミュニケーションを図ることが重要です。
また、弁護士に相談し、法的なリスクを事前に回避することも有効な対策です。
遡及適用に関する注意点
不利益変更は、原則として、変更日以降に適用されます。
過去にさかのぼって適用する遡及適用は、従業員の同意がない限り認められません。
まとめ
給与に関する不利益変更は、法令遵守と従業員との信頼関係維持の両面を考慮する必要があります。
変更を行う際には、個別同意、就業規則変更、労働協約、人事考課、降格といった方法があり、それぞれに法的要件やリスクが伴います。
変更の必要性を明確に示し、従業員への丁寧な説明と十分な協議を行うことが不可欠です。
また、不利益変更を行う前に、余剰人員の整理などの他の選択肢を検討することも重要です。
法的なリスクを回避するため、専門家への相談も検討しましょう。
不利益変更は、企業経営にとって難しい課題ですが、適切な手順と準備によって、リスクを最小限に抑え、円滑に進めることが可能です。
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