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着替えに関する労働時間のガイドラインを理解!

2024.07.15 社労士コラム

働時間に関するルールや法律は、企業にとって重要なテーマです。
従業員が安心して働ける環境を整えるためには、労働時間の管理が欠かせません。
特に、労働時間に含まれるかどうかが問題となる「着替え時間」について、正しい理解が求められます。
今回は、着替え時間が労働時間に該当するケースとその判断基準について解説し、企業が従業員の労働時間を適切に管理するためのポイントを紹介します。

◻︎着替え時間は労働時間?

労働時間の定義を理解することが、着替え時間が労働時間に該当するかどうかを判断するための第一歩です。
労働基準法第32条では、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」が労働時間とされています。
しかし、この定義だけでは具体的にどのような状況が労働時間に該当するかを判断するのは難しいです。
そのため、判例を参考にして解釈する必要があります。

1:労働時間の基本的な考え方

労働時間とは、労働者が会社の指揮命令下にある時間を指します。
具体的には、労働者が会社の指示に従って行動する必要がある時間を含みます。

2:判例に見る着替え時間の扱い

例えば、三菱重工長崎造船所事件(平成12年3月9日)の最高裁判決では、作業に入る前の着替えや散水の時間が労働時間に該当するかが争われました。
この判例では、着替えや散水が会社の命令によるものであり、その時間が所定労働時間外であっても労働時間に含まれると認められました。
このように、「指揮命令下にある」ことが労働時間と認められる重要な要素です。

3:労働時間の判断基準

着替え時間が労働時間に該当するかどうかを判断する際には、「会社からの明示的な命令」や「社内で着替えざるを得ない状況」があるかどうかが重要なポイントとなります。
このような場合、着替え時間も労働時間と見なされる可能性が高いです。

◻︎制服の着替え時間が労働時間に当たる4つのケース

1:会社の明示的な指示がある場合

例えば、「作業場に入る前にこの更衣室で制服を着用すること」といった具体的な指示がある場合です。
会社の明確な指示に基づいて行われる行為は、使用者の指揮命令下にあると見なされます。

2:会社の黙示的な命令がある場合

明確な指示がなくても、業界標準や職場の慣習によって着替えが求められる場合もあります。
例えば、特定の職種では安全や衛生上の理由から作業服の着用が必須となることがあります。
このような状況では、暗黙の命令として労働時間に含まれる可能性があります。

3:会社が場所を拘束している場合

着替えの場所が会社によって指定されている場合も労働時間と見なされることがあります。
「この更衣室で着替えること」といった指示は、労働者が会社の管理下にあることを示しています。

4:着替えが業務上必要とされる場合

仕事の遂行に必要な準備行為としての着替えも、労働時間に含まれる可能性があります。
例えば、製造現場の従業員が作業服を着ることが業務の一環である場合、その着替え時間も労働時間に含まれると考えられます。

◻︎まとめ

着替え時間が労働時間に該当するかどうかは、労働者が会社の指揮命令下にあるかどうかが判断基準となります。
明示的な指示や黙示的な命令、場所の拘束、業務上の必要性といった要素が関与している場合、着替え時間も労働時間と見なされることがあります。
企業はこれらのポイントを踏まえて、従業員の労働時間を適切に管理し、法令遵守を徹底することが求められます。
従業員が安心して働ける環境を整えるためにも、労働時間の適切な管理を行いましょう。

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