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就業規則に定める固定残業代は本当に有効?メリットやデメリットについてご紹介!

2024.08.01 社労士コラム

就業規則に定める固定残業代は、本当に有効なのでしょうか。
従業員や労務担当者にとって、固定残業代制度は、一見、残業代計算の簡素化や人件費管理の容易化をもたらす魅力的な制度のように思えます。

しかし、固定残業代制度には、労働時間管理の甘さや未払い残業代の請求リスクといった、落とし穴も存在します。
そこで今回は、固定残業代制度の有効性とリスク、メリットやデメリットについてご紹介します。

固定残業代とは?

固定残業代とは、時間外労働の発生にかかわらず、あらかじめ定められた時間分の残業代を固定額で支給する制度です。

1: 残業時間の管理負担を軽減

固定残業代制度を導入することで、残業時間の記録や計算といった、従来の残業代計算における煩雑な作業を軽減できます。
これは、特に従業員数が多く、残業時間の管理に苦労している企業にとって大きなメリットといえるでしょう。

2: 人件費の見通しを明確化

固定残業代は、月々の残業代が一定額になるため、人件費の予測が立てやすくなります。
これは、経営計画や予算管理をスムーズに行う上で重要な要素となります。

3: 従業員の収入安定化

固定残業代は、残業時間の変動に左右されずに、一定の収入を確保できるというメリットがあります。
特に、残業時間の多い従業員にとって、収入の安定感は大きな魅力といえるでしょう。

しかし、固定残業代制度は、そのメリットの裏に、いくつかのリスクもあります。

4: 長時間労働を助長する可能性

固定残業代制度は、残業時間の管理が甘くなりがちです。
定額の残業代が支払われるため、従業員は本来必要のない残業をしてしまう可能性もあります。
これは、従業員のワークライフバランスを損なうだけでなく、企業の生産性低下にも繋がります。

5: 未払い残業代の請求リスク

固定残業代制度は、適切な運用がなされなければ、未払い残業代の請求リスクが生じます。
例えば、固定残業時間を超えて働いた場合や、実際の労働時間が固定残業時間に満たない場合でも、固定額の残業代しか支払われないといったケースでは、労働基準法違反となる可能性があります。

6: 制度の有効性に関する法的判断

固定残業代制度は、労働基準法の解釈によっては無効と判断される可能性があります。
労働基準法では、時間外労働の対価は、実際に働いた時間に基づいて算定されるべきとされています。
固定残業代制度では、実際に働いた時間に関わらず、定額の残業代を支払うため、労働基準法に違反する可能性があると判断される場合もあるのです。

固定残業代制度は、一見、魅力的な制度のように思えますが、その導入には慎重な検討が必要です。

制度のメリットとデメリットを理解し、適切な運用を行うことで、リスクを最小限に抑え、従業員と企業双方にとって安心できる制度へと進化させることが重要です。

固定残業代のメリットとデメリット

固定残業代は、企業と従業員双方にとってメリットとデメリットを併せ持っています。

企業側のメリット

1: 人件費管理の効率化

固定残業代を導入することで、残業時間の管理や計算といった、従来の残業代計算における煩雑な作業を軽減できます。
これは、特に従業員数が多く、残業時間の管理に苦労している企業にとって大きなメリットといえるでしょう。

2: 人件費の見通しを明確化

固定残業代は、月々の残業代が一定額になるため、人件費の予測が立てやすくなります。
これは、経営計画や予算管理をスムーズに行う上で重要な要素となります。

3: 従業員のモチベーション向上

固定残業代は、従業員の収入安定化に繋がり、従業員のモチベーション向上に繋がる可能性があります。
これは、従業員が安心して業務に集中できる環境を作る上で重要な要素となります。

従業員側のメリット

1: 収入の安定化

固定残業代は、残業時間の変動に左右されずに、一定の収入を確保できるというメリットがあります。
特に、残業時間の多い従業員にとって、収入の安定感は大きな魅力といえるでしょう。

2: 時間管理の自由度向上

固定残業代を導入することで、従業員は残業時間の管理に縛られることなく、自分のペースで業務に取り組めます。
これは、従業員のワークライフバランスを改善し、仕事とプライベートの時間調整をしやすい環境を作る上で重要な要素となります。

企業側のデメリット

1: 長時間労働を助長する可能性

固定残業代制度は、残業時間の管理が甘くなりがちです。
定額の残業代が支払われるため、従業員は本来必要のない残業をしてしまう可能性もあります。
これは、従業員のワークライフバランスを損なうだけでなく、企業の生産性低下にも繋がります。

2: 未払い残業代の請求リスク

固定残業代制度は、適切な運用がなされなければ、未払い残業代の請求リスクが生じます。
例えば、固定残業時間を超えて働いた場合や、実際の労働時間が固定残業時間に満たない場合でも、固定額の残業代しか支払われないといったケースでは、労働基準法違反となる可能性があります。

3: 制度の有効性に関する法的判断

固定残業代制度は、労働基準法の解釈によっては無効と判断される可能性があります。
労働基準法では、時間外労働の対価は、実際に働いた時間に基づいて算定されるべきとされています。

固定残業代制度では、実際に働いた時間に関わらず、定額の残業代を支払うため、労働基準法に違反する可能性があると判断される場合もあるのです。

従業員側のデメリット

1: モチベーション低下

固定残業代制度は、従業 員のモチベーション低下に繋がる可能性があります。
定額の残業代が支払われるため、従業員は積極的に業務に取り組む意欲を失ってしまう可能性もあります。
これは、従業員の仕事に対する意欲や積極性を損なう可能性があり、企業の成長を阻害する要因となり得ます。

2: 時間管理意識の低下

固定残業代制度は、従業員の時間管理意識を低下させる可能性があります。
定額の残業代が支払われるため、従業員は時間管理を意識せずに、だらだらと仕事をしてしまう可能性があります。
これは、従業員の効率性や生産性を低下させ、企業全体の業務効率を悪化させる可能性があります。

3: 残業時間の増加

固定残業代制度は、従業員の残業時間の増加に繋がる可能性があります。
定額の残業代が支払われるため、従業員は本来必要のない残業をしてしまう可能性があります。
これは、従業員の健康やプライベートな時間を侵害し、ワークライフバランスを崩してしまう可能性があります。

固定残業代が違法になるケース

1: 固定残業代の金額・時間が明記されていない

固定残業代制度を導入する際には、就業規則や雇用契約書に、固定残業代の金額と時間を明記する必要があります。
例えば、「月給30万円(基本給24万円、固定残業代6万円)」と記載し、固定残業代が何時間分に相当するのかを明確にする必要があります。

これらの情報が明記されていない場合は、固定残業代が時間外労働の対価であることが明確ではなく、労働基準法違反と判断される可能性があります。

2: 固定残業時間を超えた分の残業代を支払わない

固定残業時間を超えて働いた場合、会社は固定残業代とは別に、超過分の残業代を支払う必要があります。
この義務を怠ると、未払い残業代の請求リスクが生じます。

3: 実際の残業時間が固定残業時間に満たない場合に固定残業代を支払わない

固定残業代制度は、実際の残業時間が固定残業時間に満たない場合でも、固定額の残業代を支払う必要があります。
これは、固定残業代が時間外労働の対価ではなく、一定額の賃金の一部とみなされるためです。

4: 基本給が最低賃金を下回っている

固定残業代制度を導入する際には、基本給が最低賃金を下回らないよう注意が必要です。
最低賃金法では、労働者に対して最低限の賃金を保証しており、基本給に固定残業代を含めて支払う場合でも、純粋な基本給が最低賃金を下回ってはなりません。

5: 固定残業時間を45時間超に設定している

労働基準法では、1ヶ月の時間外労働の上限は45時間とされています。

ただし、この上限を超える時間外労働を行う場合は、労働時間に関する協定(36協定)を締結する必要があります。
固定残業時間を45時間超に設定し、36協定を締結していない場合は、労働基準法違反となります。

6: 固定残業代が時間外労働の対価として明確にされていない

固定残業代は、時間外労働の対価として明確に記載する必要があります。
例えば、固定残業代を「業務手当」や「特別手当」などの名称で支給した場合、時間外労働の対価であることが明確ではなく、労働基準法違反と判断される可能性があります。
固定残業代は、時間外労働の対価として明確に記載し、労働基準法に則った運用を行うことが重要です。

固定残業代制度を導入する際の注意点

固定残業代制度を導入する際には、いくつかの注意点があります。

1: 就業規則や雇用契約書に明確に記載する

固定残業代制度を導入する際には、就業規則や雇用契約書に、固定残業代の金額、時間、計算方法などを明確に記載する必要があります。
これは、固定残業代制度が従業員に正しく理解され、トラブルを防ぐために重要です。

2: 従業員との間で合意を得る

固定残業代制度は、従業員との間で合意を得ることが重要です。
従業員に制度の内容を十分に説明し、理解を得た上で導入する必要があります。

3: 労働時間の管理

固定残業代制度を導入しても、労働時間の管理は怠ってはいけません。
従業員が長時間労働にならないよう、適切な労働時間管理を行う必要があります。

4: 残業時間の超過時の対応

固定残業時間を超えて働いた場合、会社は超過分の残業代を支払う必要があります。
残業時間の超過時の対応を明確にしておくことが重要です。

5: 最低賃金との関係

固定残業代制度を導入する際には、基本給が最低賃金を下回らないよう注意が必要です。
最低賃金法では、労働者に対して最低限の賃金を保証しており、基本給に固定残業代を含めて支払う場合でも、純粋な基本給が最低賃金を下回ってはなりません。

6: 従業員の意見を聞き取る

固定残業代制度は、従業員の意見を聞き取り、改善していくことが重要です。
従業員が制度に不満を感じている場合は、その原因を突き止め、改善策を検討する必要があります。

7: 定期的な見直し

固定残業代制度は、定期的に見直す必要があります。
労働時間の状況や社会情勢の変化に合わせて、制度内容を見直すことで、従業員と企業双方にとってより良い制度へと進化させられます。
固定残業代制度は、企業と従業員双方にとってメリットとデメリットを併せ持つ制度です。

制度を導入する際には、これらの注意点に留意し、適切な運用を行うことで、リスクを最小限に抑え、従業員と企業双方にとって安心できる制度へと進化させられるでしょう。

まとめ

固定残業代制度は、残業代の管理を簡素化し、人件費の見通しを明確にするメリットがある一方、長時間労働を助長したり、未払い残業代の請求リスクを招いたりする可能性もあります。
企業が固定残業代制度を導入する際には、就業規則や雇用契約書に制度の内容を明確に記載し、従業員との間で合意を得ることが重要です。

また、労働時間の管理、残業時間の超過時の対応、最低賃金との関係などに注意し、定期的に制度を見直すことで、従業員と企業双方にとって安心して運用できる制度へと進化させられます。
固定残業代制度は、あくまでも経営戦略の一つとして捉え、メリットとデメリットを理解した上で、慎重に導入・運用する必要があります。

 

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