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給与日割り計算やり方|計算方法と注意点、手当の扱い方を解説

2024.08.02 社労士コラム

給与計算は、会社にとって非常に重要な業務の一つです。特に、中途入社や退職、欠勤など、1か月を満たさない場合の給与計算は、日割り計算が必要となり、正しく行うことが求められます。日割り計算を誤ると、従業員とのトラブルに発展する可能性もあり、適切な運用を行うことが重要です。

給与の日割り計算とは?

給与の日割り計算とは、簡単に言うと、1か月を満たさない期間の勤務に対して、日数に応じて給与を計算することです。例えば、中途入社の場合、入社日から月末までの日数分の給与を計算する必要がありますし、退職の場合も、月初から退職日までの日数分の給与を計算する必要があります。

1: 給与の日割り計算が必要となるケース

給与の日割り計算が必要となるケースは、主に以下のとおりです。

中途入社
退職
欠勤
出勤日数が変動する勤務形態
中途入社や退職の場合、月の途中での入社や退職が発生するため、その月の勤務日数に基づいて給与を計算する必要があります。また、欠勤が発生した場合や、出勤日数が月ごとに変動する勤務形態の場合にも、日割り計算が適用されます。

2: 給与の日割り計算の目的

給与の日割り計算を行う目的は、従業員に対して、勤務した日数に見合った給与を支払うためです。これにより、公平かつ正確な給与支払いが実現し、従業員の労働に対する対価が適正に評価されます。

3: 日割り計算の重要性

日割り計算は、従業員とのトラブルを防ぐためにも非常に重要です。日割り計算を誤ると、従業員から給与の支払いが不当であると訴えられ、労働基準監督署から指導を受ける可能性もあります。正確な日割り計算は、会社の信頼性を保つためにも欠かせません。

給与の日割り計算の具体的な方法

給与の日割り計算には、いくつかの方法があります。代表的な方法としては、以下の3つの方法があります。

1: 暦日を用いる方法

暦日を用いる方法は、最もシンプルで分かりやすい方法です。当該月の暦日数で基本給を割り、出勤日数をかけて計算します。

計算方法:基本給 ÷ 当該月の暦日数 × 出勤日数 = 支給額
この方法は、月の日数に応じた給与計算を行うため、理解しやすく、多くの企業で採用されています。

2: 所定労働日数を用いる方法

所定労働日数を用いる方法は、暦日を用いる方法よりも、より正確な日割り計算を行うことができます。当該月の所定労働日数で基本給を割り、出勤日数をかけて計算します。

計算方法:基本給 ÷ 当該月の所定労働日数 × 出勤日数 = 支給額
この方法は、実際の労働日数に基づいて計算するため、より精緻な計算が可能です。

3: 月平均の所定労働日数を用いる方法

月平均の所定労働日数を用いる方法は、年間の所定労働日数を12か月で割って算出した月平均の所定労働日数で基本給を割り、出勤日数をかけて計算します。

計算方法:年間所定労働日数 ÷ 12 = 月平均の所定労働日数
計算方法:基本給 ÷ 月平均の所定労働日数 × 出勤日数 = 支給額
この方法は、年間を通じて均等な計算を行うため、長期的な計画に基づいた給与支払いが可能です。

手当の扱い方

手当は、基本給とは別に支給されるものです。手当には、仕事給と生活給の二つがあります。

仕事給:職務や能力、役職など、仕事内容に関連する手当。
生活給:住宅手当や家族手当など、仕事内容とは関係なく、生活の負担を軽減するための手当。
仕事給は、日割り計算の対象となることが多いです。これに対して、生活給は、日割り計算の対象外となることが多いです。会社の規定に従い、手当の種類によって適切な計算方法を選択することが重要です。

給与の日割り計算の注意点

給与の日割り計算を行う際には、以下の点に注意する必要があります。

1: 計算方法の明記

給与の日割り計算方法については、就業規則や賃金規定に明記しておくことが重要です。従業員が日割り計算の方法を理解し、納得できるように、分かりやすく説明しておく必要があります。

2: 従業員の不利益回避

給与の日割り計算は、従業員に不利益が生じないように行う必要があります。例えば、欠勤日数を多く計算して、給与が減額されてしまうといったケースは、避けるべきです。

3: 最低賃金の確保

給与の日割り計算によって、最低賃金を下回ってしまう場合は、最低賃金が確保されるように調整する必要があります。特に、所定労働日数が多く、出勤日数が少ない場合などは、注意が必要です。

4: 透明性の確保

日割り計算の結果を従業員に伝える際には、計算方法や結果の内訳を明確に示し、透明性を確保することが大切です。不明瞭な点があると、従業員の不満を招く可能性があります。

手当の扱い方

手当は、基本給とは別に支給されるものであり、その種類や目的によって日割り計算の対象となるかどうかが異なります。手当の適切な扱いは、従業員のモチベーション向上や生活支援に大きく寄与しますので、企業側はその種類ごとに適切な取り扱いを行うことが求められます。

1: 仕事給

仕事給は、従業員の職務や能力、役職など、仕事内容に関連する手当です。この手当は、従業員が果たす役割や責任の大きさに応じて支給されます。具体的には、役職手当や資格手当などが該当します。仕事給は、従業員の職務遂行に対する評価の一環として支給されるため、日割り計算の対象となることが多いです。例えば、月の途中で昇進した場合、昇進前後の役職手当を日割りで計算する必要があります。

2: 生活給

生活給は、従業員の生活の負担を軽減するために支給される手当であり、仕事内容とは直接関係が ありません。住宅手当や家族手当などがこれに該当します。生活給は、従業員の生活を支援する目的で支給されるため、基本的には日割り計算の対象外となることが多いです。例えば、住宅手当は、従業員の居住費用の一部を補助するものであり、その支給額は固定されているため、日割り計算を行わずに支給されます。

3: 通勤手当

通勤手当は、従業員が通勤にかかる費用を補助するために支給される手当です。通勤手当の計算方法は、企業の方針や就業規則によって異なります。月額固定で支給される場合は、日割り計算の対象となることがありますが、出勤日数に応じて支給される場合は、日割り計算の対象外となることが一般的です。例えば、公共交通機関を利用する場合の定期券代として月額で支給される通勤手当は、日割り計算が必要になる場合があります。

4: 固定時間外手当

固定時間外手当は、残業の有無にかかわらず、一定時間分の残業代を予め支給するもので、みなし残業代とも呼ばれます。この手当は、労働基準法に基づいて適正に支給される必要があり、固定時間外手当は、日割り計算の対象外とするのが一般的です。例えば、月20時間分の固定時間外手当を支給する場合、その月に実際に残業が行われなかったとしても、支給額は変わりません。

5: 特別手当

特別手当は、特定の状況や条件下で支給される手当です。災害時の緊急手当やプロジェクト完遂手当などがこれに該当します。特別手当は、その支給条件に応じて日割り計算の対象となるかどうかが決まります。例えば、特定のプロジェクトに対する完遂手当は、プロジェクト期間に基づいて日割り計算されることがあります。

手当の適切な取り扱いは、従業員の働きやすさや会社全体の信頼性に直結するため、企業は就業規則や賃金規定に明記し、従業員に対して明確に説明することが重要です。手当の支給方法を明確にすることで、従業員とのトラブルを未然に防ぎ、公平で透明性のある給与支給を実現することができます。

まとめ

給与の日割り計算は、中途入社や退職、欠勤など、1か月を満たさない場合に必要となる計算です。日割り計算を行う際には、暦日、所定労働日数、月平均の所定労働日数など、いくつかの方法があります。どの方法を採用するかは、会社の就業規則や賃金規定で定められています。従業員とのトラブルを避けるためには、計算方法を明確に示し、従業員に周知することが重要です。

また、手当の扱い方についても、就業規則に明記しておく必要があります。特に、生活給や固定時間外手当は、日割り計算の対象外となることが多いので注意が必要です。給与計算は、従業員との信頼関係を築く上で重要な要素の一つです。適切な日割り計算を行い、従業員からの信頼を得られるようにしましょう。

さらに、給与計算における透明性を確保し、従業員に対して計算方法や結果の内訳を明示することで、従業員の理解と納得を得ることができます。これにより、従業員とのトラブルを未然に防ぐことができ、会社全体の信頼性を向上させることができます。

給与計算は、会社の経営において欠かせない業務であり、正確かつ公平な計算を行うことが求められます。従業員の労働に対する適正な対価を支払うことで、従業員のモチベーションを高め、企業全体の生産性向上にも寄与することができます。給与計算における日割り計算の重要性を理解し、適切な運用を行うことが、企業の発展と従業員の満足度向上につながるでしょう。

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