新着情報

給与計算基礎を学ぶ!初心者向け解説|勤怠管理から社会保険まで

2024.08.03 社労士コラム

給与計算は、従業員に正当な報酬を支払うための重要な業務です。
しかし、複雑な計算や各種制度、法令への対応など、初めて取り組む人にとってはハードルが高いと感じられるかもしれません。

特に、給与計算業務を始めたばかりで、正確に計算したいけど不安な方は、基礎知識をしっかり理解することが、自信を持って業務に取り組むための第一歩となります。

本記事では、給与計算業務に必要な基礎知識を、わかりやすく解説していきます。
勤怠管理から社会保険まで、具体的な事例を交えながら、給与計算の全体像を理解し、スムーズに業務を進められるようにサポートします。

給与計算とは?

給与計算とは、従業員に支払う賃金を、勤怠情報などを基に算出する業務です。
毎月の給与計算では、総支給額の算出だけでなく、所得税や住民税などの控除額の計算、さらには年末調整などの業務も含まれます。

1: 給与の構成要素

従業員の給与は、大きく「基本給」「諸手当」「賞与」の3つに分けられます。

・基本給
基本給は、年齢や勤続年数、スキルや経験などの能力、役割や責任を考慮して決定されます。

・諸手当
諸手当には、役職手当など職務に関係するものや、通勤費や単身手当など生活に関連する手当が含まれます。

・賞与
賞与は、会社が上げた利益を従業員に分配するもので、従業員の貢献意欲やモチベーションの向上に役立ちます。

2: 給与計算の基本的な仕組み

給与計算は、以下の計算式によって行われます。

【総支給額】-【控除額】=【差引支給額】

・総支給額:基本給、各種手当などを合わせた額面です。
・控除額:所得税、住民税、社会保険料などの合計です。
・差引支給額:総支給額から控除額を差し引いた金額で、従業員の銀行口座に振り込まれる金額です。

例えば、総支給額が25万円で控除額が3万円の場合、差引支給額は22万円となります。

給与計算を始める前に知っておくべき基礎

給与計算をスムーズに行うためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

1: 賃金支払いの五原則

労働基準法では、賃金の支払いに関する「賃金支払いの五原則」が定められています。

・通貨で支払う
賃金は、通貨で支払わなければなりません。

・労働者に直接支払う
賃金は、労働者に直接支払わなければなりません。

・全額を支払う
賃金は、全額を支払わなければなりません。

・毎月1回以上支払う
賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。

・一定の期日に支払う
賃金は、一定の期日に支払わなければなりません。

2: 社会保険の加入要件

従業員が社会保険に加入する際には、いくつかの要件を満たす必要があります。

・従業員数
従業員数が一定数以上の場合、社会保険に加入する義務が発生します。

・労働時間
週の所定労働時間が一定時間以上の場合、社会保険に加入する義務が発生します。

・賃金
月額賃金が一定金額以上の場合、社会保険に加入する義務が発生します。

・雇用期間
2ヶ月を超えて雇用される見込みがある場合、社会保険に加入する義務が発生します。

3: 従業員情報の管理

給与計算を行うためには、従業員の情報を正確に管理することが重要です。

・勤怠情報
従業員の勤務時間や休暇などの勤怠情報を正確に記録し、管理することが重要です。

・個人情報
従業員の氏名、住所、銀行口座情報などの個人情報を適切に管理し、情報漏えいを防止することが重要です。

・事業所所在地のルールの確認
事業所所在地によって、給与に関するルールが異なる場合があります。

・最低賃金
最低賃金は、地域によって異なるため、従業員の賃金が最低賃金を下回らないように注意が必要です。

・労働時間
労働時間に関する規制は、地域によって異なる場合があります。

給与計算を行う際の注意点

給与計算は、労働基準法や社会保険法などの法律に則って行う必要があるため、いくつかの注意点があります。

1: 労務に関するリスク

給与計算のミスは、従業員とのトラブルや法的問題に発展する可能性があります。

・勤怠管理のミス
勤怠管理のミスは、残業代未払いなどのトラブルにつながる可能性があります。

・給与計算のミス
給与計算のミスは、従業員からの信頼を失うだけでなく、法的責任を問われる可能性があります。

2: 情報漏えいに関するリスク

従業員の個人情報が漏えいすると、個人情報保護法違反となる可能性があります。

・個人情報の取り扱い
従業員の個人情報は、適切に管理し、漏えいを防止することが重要です。

・情報セキュリティ対策
情報セキュリティ対策を強化し、情報漏えいのリスクを最小限に抑える必要があります。

3: 税務に関するリスク

給与計算のミスは、税務上の問題に発展する可能性があります。

・税金の計算ミス
税金の計算ミスは、追徴課税などのペナルティを受ける可能性があります。

・税務申告のミス
税務申告のミスは、税務調査を受ける可能性があります。

給与計算業務をスムーズに行うための4つのポイント

給与計算業務をスムーズに行うためには、以下の4つのポイントを意識することが重要です。

1: 情報漏えい対策

従業員の個人情報などの機密情報は、適切に管理し、漏えいを防止する必要があります。

・アクセス制限
社内システムへのアクセスを制 限し、権限のない者のアクセスを防止します。

・セキュリティソフト導入
セキュリティソフトを導入し、ウイルスやマルウェアからシステムを保護します。

・個人情報保護教育
従業員に対して個人情報保護の重要性を啓蒙し、適切な取り扱いを徹底します。

2: 計算ミス対策

計算ミスは、給与計算業務において大きな問題となります。

・ダブルチェック体制
複数人でチェックを行うことで、計算ミスを防止します。

・給与計算ソフト活用
給与計算ソフトを導入することで、計算ミスを減らし、業務効率を向上させます。

・定期的な見直し
定期的に計算方法やシステムを見直し、改善することで、計算ミスの発生を抑制します。

3: スケジュール管理

給与計算は、締め切りまでに完了させる必要があるため、スケジュール管理が重要です。

・作業工程の可視化
各作業工程を可視化し、進捗状況を把握します。

・余裕を持ったスケジュール
予期せぬトラブルが発生した場合に備え、余裕を持ったスケジュールを立てます。

・タスク管理ツール活用
タスク管理ツールを活用することで、作業の進捗状況を管理し、締め切りを守ります。

4: 記録保存

給与計算に関する記録は、法令で定められた期間保存する必要があります。

・賃金台帳
賃金台帳は、労働基準法で5年間の保存が義務付けられています。

・源泉徴収簿
源泉徴収簿は、税務申告のために必要となります。

・給与計算資料
給与計算に関する資料は、必要な時にすぐに取り出せるように整理して保管します。

まとめ

本記事では、給与計算業務に必要な基礎知識を解説しました。

給与計算は、従業員に支払う賃金を正確に計算し、適切に支払うための重要な業務です。
初めて取り組む際には、不安や戸惑いがあるかもしれませんが、基礎知識をしっかり理解することで、自信を持って業務に取り組むことができます。

本記事で紹介した内容を参考に、給与計算業務をスムーズに進め、従業員からの信頼を得られるように努めましょう。

 

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所

こちらの内容もお勧めです