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中小企業退職金共済(中退共)国の助成制度についてご紹介!

2024.08.12 社労士コラム

中小企業退職金共済(中退共)は、日本の中小企業を支援する国の退職金制度です。
中小企業が単独で退職金を運営するのが難しい場合に、経済的な支援を提供することで、従業員の福祉増進と企業の持続的な成長を促進することを目的としています。
本記事では、中小企業退職金共済についてご紹介します。

中小企業退職金共済(中退共)とは

中小企業退職金共済(中退共)は、日本の中小企業向けに設けられた国の退職金制度であり、中小企業の従業員の福祉向上と企業の持続的な成長支援がその主な目的です。
この制度は、厚生労働省所管の独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部によって運営され、中小企業が加入できます。

退職金の支給は法律で義務付けられていないため、企業は自由に退職金制度を設計できますが、その運営や資金確保は多くの中小企業にとって課題となります。
中退共は、単独での退職金運用が難しい中小企業に対し、組合せて支援を提供します。
従業員は毎月一定額の掛け金を支払い、将来的な退職時にはこれが積み立てられた資金となり、中退共から退職金が支給される仕組みです。

掛け金は全額が非課税の経費として企業の負担になります。
このため、企業にとっては節税効果があります。
さらに、中退共に加入することで従業員は安定したキャリアプランを持ち、経済的な安定を目指せます。

中退共の加入企業は、適切な退職金制度の導入と管理により、従業員のモチベーション維持や長期的な雇用安定に寄与することが期待されます。
結果として、企業の成長と従業員の安心が両立することで、より持続可能なビジネス環境が整えられることになります。

中小企業退職金共済(中退共)国の助成制度

中小企業退職金共済(中退共)は、加入する中小企業に対して国が助成する制度があります。
この助成は、新規加入する企業や掛金を増額する企業に対して以下のように行われます。

1: 新規加入企業への助成

新しく中退共に加入する中小企業に対して、加入後4か月から1年間、掛金月額の1/2を助成します(上限は5,000円)。
特定の条件を満たすパートタイムや短時間労働者に対しては、さらに特例措置として追加の助成があります。
たとえば、掛金月額が2,000円から4,000円の場合には、月額300円から500円の追加助成が行われます。

2: 掛金を増額する企業への助成

中退共の掛金月額が18,000円以下の従業員について、企業が掛金を増額した場合、増額分の1/3が増額した月から1年間、助成されます。
また、特定の市町村では中退共の掛金を補助する制度も存在するため、事業所が所在する地域の補助制度も確認することが重要です。

□中小企業退職金共済(中退共)に加入している企業から転職した場合

中小企業退職金共済(中退共)に加入していた従業員が転職した際の通算制度は、従業員のキャリア移行を支援する重要な制度です。
具体的には以下のようなポイントがあります。

1: 通算制度の適用条件

中退共に加入していた従業員が退職して新しい企業に転職する場合、前の企業での中退共への加入期間を通算することが可能です。
これにより、前の企業で積み立てた掛金納付月数が新しい企業での退職金制度に反映されるため、従業員は安心してキャリアを移行できます。

ただし、前の企業での掛金納付月数が12か月未満の場合は、通算されないことがあります。
この場合、退職理由が自己都合や従業員の責任に帰すべき事由でないかどうかが判断基準となります。

2: 他の共済制度との通算

中退共以外にも商工会議所・商工会等が行う特定退職金共済制度や特定業種退職金共済制度など、他の共済制度とも通算が可能です。
たとえば、退職後3年以内に別の共済制度に加入し、通算の申し出をすることで、両方の制度での加入期間を合算できます。

特定業種退職金共済制度に加入していた場合も、条件を満たす場合には掛金納付月数の通算が認められますが、同様に退職理由の評価が重要です。
中小企業退職金共済(中退共)の通算制度は、従業員が異なる企業間を移動する際においても、安定した退職金の受給を確保するための支援を提供します。

これにより、従業員は職場の移転やキャリアの変化に対しても経済的な安定を保ちやすくなります。
企業側も、この制度を通じて人材の定着やモチベーション維持を図ることができ、持続可能な人材管理を推進する一助となります。

まとめ

中小企業退職金共済(中退共)は、従業員が異なる企業への転職時にも通算制度が適用され、安定したキャリア移行を支援します。
さらに、他の共済制度との通算も可能であり、従業員のライフプランに対する包括的なサポートを提供します。
中小企業と従業員の双方にとって、経済的安定と長期的な雇用関係の維持に貢献するこの制度について理解を深める参考になれば幸いです。

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