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労働条件通知書と雇用契約書の違いを解説!トラブルを防ぐためのポイントも

2024.08.13 社労士コラム

従業員を雇用する際に、人事担当者や経営者は様々な書類作成に頭を悩ませているのではないでしょうか。
特に、労働条件通知書と雇用契約書はどちらも労働条件を明示するための書類ですが、その違いがよく分からず、どちらを作成すればいいのか悩んでいる方も多いはずです。

本記事では、労働条件通知書と雇用契約書のそれぞれの特徴、作成の必要性、トラブル防止のためのポイントを分かりやすく解説することで、安心して書類作成を進められるようにします。

労働条件通知書と雇用契約書の違い

労働条件通知書と雇用契約書はどちらも労働条件を明示するための書類ですが、法的根拠や作成義務、内容に違いがあります。

1:労働条件通知書

労働条件通知書は、労働基準法第15条(労働条件の明示)に基づいた事項を企業が労働者に通知(明示)するための書類です。
労働基準法は強行法規であり、企業は必ず労働条件通知書を作成し、労働者に交付する義務があります。
労働条件通知書には、賃金、労働時間、休日、休暇、解雇、懲戒など、労働条件に関する重要な事項が記載されます。

2:雇用契約書

雇用契約書は、労働者と使用者(企業)が労働条件について合意したことを書面で確認するための書類です。
労働契約法第4条(労働契約の内容の理解の促進)に基づき、企業は労働者に対し、労働条件について書面で理解させるように努める必要があります。

ただし、雇用契約書の作成義務は法律上は定められていません。

3:労働条件通知書と雇用契約書の法的根拠の違い

労働条件通知書は労働基準法に基づいて義務付けられた書類であり、雇用契約書は労働契約法に基づいた任意の書類となります。
労働基準法は強行法規、労働契約法は任意法規であり、どちらの法律が上位というわけではありません。

しかし、実務上は労働条件通知書は法的な義務であり、雇用契約書は任意であると考えられています。

雇用契約書を作成するメリット

雇用契約書を作成することで、労働条件に関するトラブルを予防できること、労働者との合意形成を図り、双方の理解を深められるなどのメリットがあります。

1:トラブル防止

雇用契約書がない場合、労働条件に関するトラブルが発生した場合に、企業側が不利な立場に立たされる可能性があります。
例えば、労働者が「当初の契約と労働条件通知書の間に食い違いがある」と主張した場合、雇用契約書があれば、合意内容を証明することができます。

2:労働者との合意形成

雇用契約書を作成することで、労働者と企業は労働条件についてしっかりと話し合い、合意することができます。
これは、労働者が自分の権利と義務を理解し、安心して仕事に取り組めるようになるためにも重要です。
また、企業側にとっても、労働者の意向を把握し、スムーズな雇用関係を築くことができるようになります。

3:労働条件の明確化

雇用契約書には、労働条件に関する重要な事項が明記されます。
これにより、労働者と企業は、それぞれの権利と義務を明確に理解することができます。
特に、解雇や懲戒に関する規定を明確にすることで、トラブル発生時の対応をスムーズに行うことができます。

労働条件通知書と雇用契約書の兼用について

労働条件通知書と雇用契約書を兼用することも可能ですが、内容が複雑になる場合は、それぞれを作成した方が分かりやすいでしょう。

1:兼用のメリット

労働条件通知書と雇用契約書を兼用するメリットは、書類作成の手間を減らすことができる点です。
1つの書類で労働条件を全て明示できるため、作成や管理が簡便になります。

2:兼用のデメリット

一方、兼用のデメリットとして、内容が複雑になり、分かりにくくなる点が挙げられます。
特に、労働条件通知書の内容が詳細になると、雇用契約書との区別がつきにくくなり、労働者が理解しづらくなってしまう可能性があります。

3:別々の作成のメリット

労働条件通知書と雇用契約書を別々に作成するメリットは、それぞれの内容を明確に理解しやすくなる点です。
労働条件通知書には、労働基準法で定められた必須事項を記載し、雇用契約書には、労働者との合意事項を記載することで、それぞれの書類の内容が明確になり、双方にとって理解しやすいものとなります。

まとめ

労働条件通知書と雇用契約書は、どちらも労働条件を明示するための重要な書類です。
労働条件通知書は労働基準法に基づいた作成義務のある書類であり、雇用契約書は任意の書類ですが、トラブル防止や労働者との合意形成のために作成することをおすすめします。

それぞれの書類の内容を理解し、必要に応じて兼用または別々の作成を検討することで、安心して雇用関係を築くことができるでしょう。

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