新着情報

パートの働き方が変わる?社会保険への加入が義務化される概要

2024.08.14 社労士コラム

2024年の10月からパートの働き方が大きく変わることをご存知でしょうか。
従業員数101人以上の企業で働く場合、社会保険への加入が義務化されます。

社会保険加入のメリットやデメリットや、社会保険に加入したくない場合はどうすればいいのかなど、社会保険加入に関する疑問や不安を持っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、パート・アルバイトの社会保険加入に関する情報を分かりやすく解説します。

パートの社会保険加入とは?

2024年10月から、従業員数101人以上の企業で働くパート・アルバイトは、週20時間以上、月8.8万円以上の収入があれば社会保険に加入しなければならないというルールが導入されました。

1:加入対象者の拡大

社会保険加入の対象者が広がった背景には、パート・アルバイトの労働時間や収入が増加傾向にある一方で、社会保険に加入していない人が多く、老後の生活不安や病気やケガに対する備えが不足しているという課題がありました。

政府は、こうした課題を解消するため、パート・アルバイトの社会保険加入を促進することで、より多くの労働者が社会保険の恩恵を受けられるようにすることを目指しています。

2:社会保険加入義務化の目的

パート・アルバイトの社会保険加入義務化の目的は、以下の2点です。

・老後の生活不安の解消
社会保険に加入することで、老後の年金受給額が増加し、生活の安定につながります。

・病気やケガに対する備えの充実
社会保険に加入することで、病気やケガの際の保障が手厚くなり、安心して働ける環境が整います。

3:加入義務化による影響

社会保険加入義務化は、パート・アルバイトの労働者だけでなく、企業にも大きな影響を与えます。
企業は、新たに社会保険加入対象となるパート・アルバイト従業員に対して、制度変更について周知し、加入手続きに必要な書類を準備するなど、適切な対応を行う必要があります。

社会保険に加入するとどうなるの?メリットとデメリット

メリット

社会保険に加入することによって得られるメリットは以下の通りです。

1. 老後の年金受給額の増加

厚生年金保険に加入することで、国民年金から将来受け取れる基礎年金の額に、在職中に支払った厚生年金の保険料に応じた金額が上乗せされます。

2. 病気やケガの際の保障の充実

健康保険に加入することで、病気やケガの治療費が大幅に軽減され、高額な医療費の負担を減らせます。

3. 傷病手当金の受給

病気やケガで働けなくなった場合、一定の条件を満たせば、傷病手当金を受給できます。

4. 出産手当金や出産育児一時金の受給

出産した場合、出産手当金や出産育児一時金を受給できます。

5. 雇用保険の加入

雇用保険に加入することで、失業した場合、失業手当を受給できます。

デメリット

1. 毎月の保険料負担

社会保険料は、給与から天引きされます。

2. 扶養から外れることによる控除の減少

配偶者の扶養に入っている場合、社会保険に加入すると扶養から外れるため、控除が減り、手取り額が減少します。

3. 所得税の増加

扶養から外れることで、所得税の税率が上がる可能性があります。

社会保険加入の義務化で企業はどんな対応をするべき?

2024年10月からの社会保険加入義務化に伴い、従業員数101人以上の企業は、新たに社会保険加入対象となるパート従業員に対して、制度変更について周知し、加入手続きに必要な書類を準備するなど、適切な対応を行う必要があります。

1:制度変更の周知

企業は、社会保険加入義務化の制度変更について、新たに社会保険加入対象となるパート従業員に対して、分かりやすく丁寧に説明する必要があります。

周知方法としては、以下の方法が考えられます。

・社内報やメールによる周知
・説明会の実施
・個別面談の実施

2:加入手続きのサポート

企業は、新たに社会保険加入対象となるパート・アルバイト従業員が、スムーズに社会保険に加入できるように、加入手続きに必要な書類の準備や手続きのサポートを行う必要があります。

3:労働時間や賃金の調整

社会保険加入義務化により、パート・アルバイトの労働時間や賃金の見直しが必要となるケースも考えられます。
企業は、従業員と相談し、労働時間や賃金を調整することで、社会保険加入に伴う負担を軽減できるよう努める必要があります。

社会保険に加入したくない場合は?

社会保険加入を希望しない場合は、労働時間を調整したり、雇用期間を短くしたり、雇用保険の非該当事業所で働くなど、いくつかの方法があります。

1:労働時間の調整

社会保険加入の対象となるのは、週20時間以上の労働者です。
そのため、労働時間を20時間未満に調整することで、社会保険に加入する義務を回避できます。

しかし、労働時間の調整は、業務内容や会社の体制によって難しい場合もあるため、事前に会社と相談する必要があります。

2:雇用期間の調整

社会保険加入の対象となるのは、2か月を超える雇用の見込みがある労働者です。
そのため、雇用期間を31日未満にすることで、社会保険に加入する義務を回避できます。

しかし、雇用期間が短いと、仕事が安定しない、福利厚生が受けられないなどのデメリットがあるため、よく検討する必要があります。

3:雇用保険の非該当事業所で働く

雇用保険は、社会保険とは別に加入が義務付けられている制度ですが、一部の事業所では、雇用保険の適用除外が認められています。
雇用保険の非該当事業所で働くことで、社会保険に加入する義務を回避できます。

しかし、雇用保険の非該当事業所は、限られています。

4:その他の方法

上記以外にも、社会保険加入を回避する方法として、以下の方法が考えられます。

・個人事業主として働く
・フリーランスとして働く

これらの方法では、社会保険に加入する義務はありません。
しかし、これらの働き方では、社会保険の保障を受けられないため、病気やケガの際に自己負担が大きくなるリスクがあります。

まとめ

この記事では、従業員数101人以上の企業で働くパート・アルバイトの社会保険加入について解説しました。
自分の状況に合わせて、社会保険加入のメリットとデメリットを比較検討し、最適な働き方を考えることが重要です。
加入を希望しない場合は、労働時間を調整したり、雇用期間を短くしたり、雇用保険の非該当事業所で働くなど、いくつかの方法があります。
2024年10月から導入される新ルールを踏まえ、自分にとって最も適した選択をしましょう。

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所

こちらの内容もお勧めです