新着情報

給与支給方法|5つの原則と例外、遅刻や早退時の扱いも解説

2024.08.16 社労士コラム

会社で働く従業員にとって、給与は生活の基盤となる重要なものです。
しかし、給与の仕組みや支払い方法について、きちんと理解している人はどれほどいるでしょうか。

給与の支払いには、労働基準法で定められたルールが存在します。
これらのルールを理解することで、自分の権利や義務を明確にし、安心して働くことができます。

この記事では、給与の支払いに関する5つの原則とその例外、遅刻や早退時の扱い、その他の規定について、具体例を交えてわかりやすく解説していきます。

給与支給方法|5つの原則とは

給与の支払い方法は、労働基準法によって厳格に定められています。
会社が従業員に給与を支払う際には、必ず守らなければならない5つの原則があります。

1: 通貨払い

給与の支払いは、原則として通貨で行う必要があります。
つまり、現金で手渡すことが基本となります。
しかし、現代社会では銀行振込が一般的になっており、従業員の同意を得た上で振込による支払いが認められています。

2: 直接払い

給与は、従業員本人に対して直接支払うことが原則です。
家族や代理人に支払うことは認められていません。

3: 全額払い

給与は、全額を支払うことが原則です。
会社は、従業員の同意を得た場合を除き、給与から賃金以外のものを差し引くことはできません。

4: 毎月払い

給与は、原則として毎月1回以上支払う必要があります。
年棒制の場合でも、毎月分割して支払うように定める必要があります。

5: 一定期日払い

給与の支払日は、会社が事前に定めた一定の日に行う必要があります。
例えば、「毎月25日払い」のように、具体的な日付を定めておくことが必要です。

給与支給方法|5つの原則の例外

給与の支払いに関する5つの原則には、例外が認められています。
それぞれの原則の例外について、詳しく見ていきましょう。

1: 通貨払いの例外

通貨払いの原則には、以下の例外が認められています。

・法令または労働協約で別段の定めがある場合

– 例えば、労働協約で「銀行振込による支払い」と定められている場合、銀行振込による支払いが認められます。

・従業員の同意を得て、以下の方法による場合

– 銀行振込
– 証券会社への払込み(投資信託等の購入に充てる場合に限る)
– 指定資金移動業者の口座への資金移動(デジタル払い)

・従業員の同意を得て、退職金を小切手等で支払う場合

2: 直接払いの例外

直接払いの原則には、以下の例外が認められています。

・本人と同視し得る使者に対して支払う場合

– 例えば、従業員が病気などで会社に出勤できない場合、家族が代理で給与を受け取ることができます。

・裁判所の決定によって賃金債権が差し押さえられた場合

– 従業員が借金などで債権者に給与を差し押さえられた場合、債権者に直接支払うことが認められます。

3: 全額払いの例外

全額払いの原則には、以下の例外が認められています。

・法令に別段の定めがある場合

– 例えば、所得税、住民税、社会保険料などは、給与から控除することができます。

・労働組合等と締結する労使協定で定めた場合

– 会社と労働組合が合意した内容に基づき、給与から一定の金額を控除することができます。

・以前に払い過ぎた給料を控除する場合

– 会社が誤って従業員に過払いした給与を、次回の給与から控除することができます。

4: 毎月1回以上の原則・一定期日払いの原則の例外

毎月1回以上の原則、一定期日払いの原則には、以下の例外が認められています。

・ 臨時に支払われる賃金

– 賞与や精勤手当など、毎月支払われない賃金は、毎月1回以上の原則の例外となります。

・賃金支払日が休日の場合

– 賃金支払日が休日の場合は、前営業日または翌営業日に支払うことができます。

給与支給方法|遅刻や早退時の扱い

遅刻や早退をした場合、賃金の扱いについて解説します。

1: ノーワーク・ノーペイの原則

– 遅刻や早退をした時間分の賃金は支払われない「ノーワーク・ノーペイ」の原則が適用されます。

2: 遅刻や早退時間の控除

– 遅刻や早退をした時間分の賃金は、控除することができます。
しかし、遅刻や早退をした時間にかかわらず、「遅刻3回で1日分の賃金を控除」といった形で規定することは違法です。

3: 減給の制裁

– 遅刻や早退をした従業員に対して、減給の制裁を行うことは可能です。
減給できる額の上限は、1回につき1日分の平均賃金の半額で、1回の賃金支払期の10分の1を総額で超えない範囲とされています。

給与支給方法|その他の規定

給与の支払いに関する5つの原則以外にも、労働者の賃金に関する規定は数多く存在します。

1: 割増賃金の計算方法

– 割増賃金は、法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超えて働いた場合に支払われる賃金です。

– 割増賃金の計算方法は、労働基準法で定められており、会社は法律に基づいて正しく計算する必要があります。

2: 休業時の賃金支払い

– 労働者が休暇や休業を取得する際には、賃金が発生する場合とそうでない場合があります。

– 具体的には、有給休暇、慶弔休暇、産前産後休業、介護休業、休職期間など、それぞれの休暇・休業に対する賃金の取り扱いは、会社によって異なります。

– 労働者は、自分の権利を守るためにも、会社から支給される休暇・休業に関する賃金の取り扱いについて、事前に確認しておくことが重要です。

まとめ

この記事では、労働基準法に基づいた給与の支払い方法、5つの原則とその例外、遅刻や早退時の扱い、その他の規定について解説しました。

給与の支払いに関するルールを理解することで、従業員は自分の権利や義務を明確にし、安心して働くことができます。
また、会社は労働基準法を遵守することで、従業員との信頼関係を築き、労働環境を改善することができます。

給与に関する疑問や不安は、労働基準監督署などに相談することもできます。
労働基準監督署では、労働者からの相談を無料で受け付けています。

この記事が、読者の皆様の給与に関する知識を深める一助となれば幸いです。

 

大阪なんば駅徒歩1分
給与計算からIPO・M&Aに向けた労務監査まで
【全国対応】社会保険労務士法人 渡辺事務所

こちらの内容もお勧めです