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就業規則変更で不利益変更!従業員が納得する変更の仕方とは?
就業規則は、会社と従業員の関係を定める重要なルールです。
日々変化する社会情勢に合わせて、会社は就業規則を見直す必要に迫られることもあります。
しかし、従業員にとって不利益な変更は、労働意欲の低下や離職に繋がりかねません。
従業員が納得する就業規則の変更とは、一体どのようなものなのでしょうか。
この記事では、人事担当者の方向けに、就業規則の不利益変更を行う際に押さえておくべきポイントを解説します。
具体的な事例や注意点などを交えながら、従業員との良好な関係を維持したまま、安心して変更を進めるための方法をご紹介します。
就業規則の不利益変更とは?
就業規則の不利益変更とは、従業員にとって不利益な内容に就業規則を変更することです。
例えば、賃金の引き下げ、手当のカット、福利厚生の廃止、残業時間の増加、休日数の減少などが挙げられます。
労働契約法では、使用者は従業員の不利益となるような労働条件の一方的な変更を原則禁止しています。
しかし、労働者の過半数代表者との合意があれば、変更が認められる場合があります。
つまり、従業員の過半数代表者と話し合い、変更内容について合意を得ることができれば、不利益な変更であっても、法律上は問題ありません。
1: 労働者の過半数代表者との合意
労働者の過半数代表者とは、従業員を代表して、会社と交渉する立場にある者のことです。
労働組合がある場合は、労働組合が代表者となります。
労働組合がない場合は、従業員で選出された代表者が、過半数代表者となります。
2: 合理的な変更の必要性
ただし、労働者の過半数代表者との合意があったとしても、変更内容が「合理的」でなければ、変更は認められない可能性があります。
合理性とは、変更によって会社が得られる利益と、従業員が被る不利益のバランスがとれているかどうかということです。
3: 従業員への影響
就業規則の不利益変更は、従業員にとって大きな影響を与える可能性があります。
例えば、賃金の引き下げは、生活費の負担が増加し、生活水準が低下する可能性があります。
福利厚生の廃止は、従業員の満足度が低下し、離職率が高くなる可能性があります。
4: 労働意欲の低下
従業員が就業規則の変更に納得がいかない場合、労働意欲が低下し、仕事へのモチベーションが下がる可能性があります。
これは、会社全体の生産性や業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。
5: 離職率の上昇
就業規則の不利益変更によって、従業員が会社を辞めてしまうケースも考えられます。
特に、賃金の引き下げや福利厚生の廃止などの変更は、従業員の不満が大きくなり、離職率の上昇に繋がる可能性があります。
従業員が納得する変更のための3つのポイント
従業員が納得する就業規則の不利益変更には、変更の必要性を明確に伝え、従業員への影響を最小限に抑えることが重要です。
具体的には、以下の3つのポイントを意識しましょう。
1: 変更の理由を具体的に説明し、変更によるメリットを提示すること
従業員は、なぜ就業規則が変更されるのか、その理由を理解していないと、変更に納得できません。
変更の理由を具体的に説明し、変更によってどのようなメリットがあるのかを明確に示すことで、従業員の理解と協力を得やすくなります。
例えば、賃金の引き下げを検討している場合、「会社の業績が厳しい状況で、このままでは経営が維持できなくなる。
そこで、賃金を一部引き下げることで、会社を存続させ、従業員の雇用を守りたい」といった説明が必要です。
また、変更によって従業員が得られるメリットを提示することも重要です。
例えば、残業時間の増加を検討している場合、「残業時間の増加によって、従業員一人ひとりのスキルアップを図り、より専門性の高い仕事に挑戦できる機会を提供したい」といった説明が考えられます。
2: 影響を受ける従業員への配慮を欠かさずに行うこと
就業規則の変更によって、特定の従業員が大きな影響を受ける場合があります。
例えば、残業時間の増加によって、子育て中の従業員が仕事と家庭の両立が難しくなる可能性があります。
このような場合、影響を受ける従業員への配慮を欠かさずに行う必要があります。
例えば、残業時間の増加を検討している場合、子育て中の従業員に対しては、育児休業の取得を奨励したり、短時間勤務制度の導入を検討したりするなど、柔軟な働き方を支援する必要があります。
3: 変更後のフォロー体制を整備すること
就業規則の変更後も、従業員が安心して仕事に取り組めるように、適切なフォロー体制を整備することが重要です。
例えば、変更内容に関する相談窓口を設置したり、従業員向けの研修を実施したりすることで、従業員の不安や疑問を解消することができます。
就業規則変更の手続きの流れ
就業規則の変更には、以下の手順が必要です。
1: 変更案の作成
まず、変更内容を具体的に盛り込んだ変更案を作成します。
変更案を作成する際には、法律に違反していないか、従業員にとって不当な内容になっていないかなどを注意深く確認する必要があります。
2: 従業員代表者への意見聴取
変更案を作成したら、労働者の過半数代表者に対して、意見を聴取する必要があります。
労働組合がある場合は、労働組合に意見を聴取します。
労働組合がない場合は、従業員で選出された代表者に意見を聴取します。
3: 労働基準監督署への届出
従業員代表者からの意見聴取が終了したら、変更内容を労働基準監督署に届け出ます。
労働基準監督署は、変更内容が法令に違反していないかを確認し、必要に応じて指導を行います。
4: 変更後の周知
労働基準監督署への届出が完了したら、従業員に新しい就業規則の内容を周知します。
周知の方法としては、社内報やメール、ポスターなどがあります。
まとめ
従業員が納得する就業規則の不利益変更には、変更の必要性を明確に伝え、従業員への影響を最小限に抑えることが重要です。
そのためには、変更の理由を具体的に説明し、変更によるメリットを提示すること、影響を受ける従業員への配慮を欠かさずに行うこと、変更後のフォロー体制を整備することが重要です。
さらに、就業規則の変更手続きは、変更案の作成から従業員代表者への意見聴取、労働基準監督署への届出、変更後の周知まで、複数のステップがあります。
各ステップにおける注意点や必要な書類などを理解することで、スムーズな変更手続きを進めることができます。
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