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【大阪難波の社労士】定期健康診断は企業の義務?実施するときのポイントも解説
大阪難波を中心に企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。従業員の健康管理に欠かせないのが定期健康診断ですが、どのような企業でも実施は義務なのでしょうか?またすべての従業員が対象なのかどうかも気になります。
本記事では定期健康診断が企業の義務なのかどうかについて、対象者や検査項目、実施するときのポイントなどと一緒に解説します。
定期健康診断の実施は小さな会社でも義務
結論から述べると、定期健康診断の実施は企業の義務です。労働安全衛生法第66条に基づいて、企業には従業員に対する健康診断の実施が義務づけられています。
健全な企業運営を進めていくためには、従業員の健康を守ることが必須です。そのため、企業の規模に関係なく、小さな会社でも対象者がいれば定期健康診断を行わなければいけません。
以下で健康診断の種類と対象者を見ていきましょう。
参照:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断の概要」
健康診断の種類
労働安全衛生法に基づく健康診断には、大きく2つがあります。
- 一般健康診断
- 特殊健康診断
一般健康診断は従業員の一般的な健康状態のチェックが目的です。一方の特殊健康診断は、有害な仕事に就いている従業員の健康状態のチェック・予防を目的としています。
それぞれでさらに、いくつかの種類に分かれています。
区分 | 種類 |
一般健康診断 | 雇入時の健康診断 定期健康診断 特定業務従事者の健康診断 海外派遣労働者の健康診断 給食受持者の検便 |
特殊健康診断 | 有機溶剤健康診断 鉛健康診断 四アルキル鉛健康診断 特定化学物質健康診断 高気圧業務健康診断 電離放射線健康診断 除染等電離放射線健康診断 石綿健康診断 じん肺健康診断 |
定期健康診断は一般健康診断に含まれ、1年以内ごとに1回は実施しなければいけません。
参照:東京労働局「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」
対象者
定期健康診断の対象者は次の通りです。
- 常時使用する正規従業員
- 常時使用するパートやアルバイト従業員(ただし、1年以上の雇用の見込みがあり、週の労働時間が正規従業員の労働時間の4分3以上である場合に限る)
企業の規模や従業員数などにかかわらず、上記の条件に該当する従業員がいる場合は実施する義務があります。
一方で以下の条件にあてはまる場合、実施義務はありません。
- 労働者性のない会社役員
- 派遣スタッフ
派遣スタッフは派遣会社と雇用契約を結んでいるため、実施する必要はありません。
定期健康診断の義務を怠ったときの罰則
もし定期健康診断を実施する義務を怠ったら、どうなってしまうのでしょうか?
義務を遂行しなかった場合、労働安全衛生法第120条に基づいて、50万円以下の罰金に処される可能性があります。さらに企業イメージが低下し、株価の暴落・売上の減少・取引停止などにつながる恐れも出てくるでしょう。
従業員の健康面を守り、さらに企業イメージの低下を防ぐためには実施義務を守りましょう。
定期健康診断で必要となる検査項目
定期健康診断ではいくつかの検査項目が定められています。
- 既往歴と業務歴の調査
- 自覚症状と他覚症状の有無の検査
- 身長と体重、腹囲、視力、聴力の検査
- 胸部エックス線検査および喀痰(かくたん)検査
- 血圧の測定
- 貧血検査
- 肝機能検査(GOT・GPT・γ-GPT)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール・HDLコレステロール・トリグリセライド)
- 血糖検査
- 尿検査
- 心電図検査
ただし、身長や腹囲の検査、喀痰検査、貧血検査などは、医師が必要でないと判断すれば省略可能です。
参照:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断の概要」
定期健康診断を実施するときのポイント
定期健康診断を滞りなく行うためには、いくつかのポイントがあります。主なものを全部で4つ見ていきましょう。
企業がすべての費用を負担する
定期健康診断は企業の義務のため、すべての費用を企業が負担しなければいけません。料金は医療機関や従業員数、実施方法などによって異なるものの、一人あたり8,000円~1万5,000円ほどと考えておくとよいでしょう。
ただし、人間ドックやがん検診など、上記で紹介した検査項目に含まれていないものは費用負担の義務はありません。従業員が希望する場合は、企業負担とするか、従業員負担とするかをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
常時50名以上の従業員を雇用する場合は報告義務がある
常時50名以上の従業員を雇用する場合は、所轄の労働基準監督署へ健康診断の結果を報告しなければいけません。報告書は厚生労働省のホームページからダウンロード、またはネット上で作成できます。
また健康診断の対象とならないパートやアルバイト従業員も、常時50名以上の従業員数にカウントされますので注意が必要です。
診断結果は5年間の保管義務がある
診断結果は所見のあるなしにかかわらず、各従業員へ通知する必要があります。また作成から5年間は保管しなければいけません。
ただし、結果の保管には従業員からの承諾が必要です。厚生労働省では、取りあつかいについて就業規則へ記しておくのが望ましいとしています。
従業員が拒否する場合は懲戒処分の対象とできる
定期健康診断は企業の実施義務のため、従業員は拒否できません。しかし、それでも拒否する従業員がいる場合はどのように対処すればよいのでしょうか?
たとえば、他の医師による健康診断を受けたときは、診断結果を証明する書面の提示によって、再度受ける必要はありません。
何度促しても拒否する場合は、就業規則に基づいた懲戒処分の対象とできます。そのため、あらかじめ就業規則にその旨を記載しておくのが有効です。
また受診の拒否によって昇給や賞与の査定に影響する恐れがあること、大きな事故が起きても自己責任となる可能性があることなどを、書面で取り交わす方法もあります。
まとめ
一定の条件に該当する従業員を雇用している場合は、規模にかかわらず定期健康診断の実施が義務づけられています。
義務履行を怠ると50万円以下の罰金が科されるほか、企業イメージの低下につながる可能性があるため注意が必要です。
企業の成長や発展のためには、定期健康診断を含む従業員の健康管理が欠かせません。
社会保険労務士法人渡辺事務所は、大阪市中央区難波を拠点に全国対応しております。健康管理体制の構築や見直しのアドバイス・サポートのほか、問題のある社員の対応、未払い残業代の請求対策、ハラスメント対策などの労務問題を迅速に解決いたします。
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