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【大阪難波の社労士】2023年4月より雇用保険料アップ!計算のポイントも解説

2023.03.30 社労士コラム

大阪難波を中心に企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。

一定の要件を満たすと加入義務がある雇用保険の保険料は、2023年4月よりアップします。しかし、具体的にどのくらいアップするのでしょうか?

本記事では2023年4月以降の雇用保険料について、計算するときのポイントと一緒に解説します。

雇用保険の概要

雇用保険は政府が管掌する強制保険制度で、主に失業者の生活を保障するために給付するものです。また教育訓練を受けたときや、育児・介護で休業したときの給付にも対応しています。

加入条件は次の通りです。

  • 31日以上の雇用が継続すると見込まれる
  • 所定労働時間が週20時間以上

ただし、原則として昼間の学生は加入できません。

保険料は労働者と事業主の双方が負担しますが、事業主の方が負担率は高くなっています。

参照:ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要

参照:厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!

2023年4月より雇用保険料がアップ

厚生労働省は2023年4月1日より、現行の雇用保険料率を改定するとしました。保険料がアップします。

保険料引き上げに至った背景や具体的な引き上げ率、月収に応じた実際の負担額を以下で見ていきましょう。

雇用保険料引き上げの背景

保険料が引き上げとなった背景には、新型コロナウイルス感染症があります。

2019年12月初旬に中国で第1例目となる感染者が見つかってから、長い期間に渡って流行しており、同時に雇用調整助成金の申請が増加したことが理由です。

雇用調整助成金とは従業員の雇用を維持するために、雇用調整(休業)をする事業主へ休業手当の一部を助成するものを指します。

2020年2月に新型コロナウイルス感染症特例措置が開始されて以降、2022年10月14日時点で合計6兆1,198億円もの支給実績があります。

参照:厚生労働省「雇用調整助成金等・休業支援金等について

雇用保険料の引き上げ率

2023年3月まで、そして2023年4月以降の一般の雇用保険料率は次の通りです。

 

労働者負担の保険料率

事業主負担の保険料率

労働者・事業主負担の保険料率合計

2022年10月~2023年3月まで

0.5%

0.85%

1.35%

2023年4月以降

0.6%

0.95%

1.55%

2023年4月以降は労働者と事業主、それぞれで0.1%の引き上げとなります。新しい保険料率は、2024年3月31日までの予定です。

参照:厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内

月収に応じた実際の負担額

上記で解説した新しい保険料率を基に、月収に応じた実際の負担額を見ていきましょう。

 

労働者の負担額

事業主の負担額

労働者・事業主の負担額合計

月収20万円

月収30万円

月収20万円

月収30万円

月収20万円

月収30万円

2022年10月~2023年3月まで

1,000円

1,500円

1,700円

2,550円

2,700円

4,050円

2023年4月以降

1,200円

1,800円

1,900円

2,850円

3,100円

4,650円

厚生年金保険料と比べると負担額は少ないものの、今後も改定される可能性があるため、企業側も状況を注視する必要があります。

雇用保険料を計算するときのポイント

雇用保険料を計算するときは、どのような点に気をつければよいのでしょうか?

以下で計算する際のポイントを、全部で3つ紹介します。

端数処理のルールを理解する

まずは、端数処理のルールを確実に理解しましょう。

1円未満の端数が出たときは、以下のような厚生労働省が示しているルールに沿って計算します。

  • 端数が50銭以下の場合は切り捨て
  • 端数が50銭1厘以上の場合は切り上げ

ただし、企業ごとに慣習的な取り扱いがある場合は、それぞれの方法を優先しても構いません。

参照:厚生労働省「雇用保険被保険者からの雇用保険料の控除方法

賞与は毎月の給与とは別に雇用保険料を計算する

雇用保険料は「労働の対価として支払われた賃金」に対して発生するため、賞与も対象です。賞与を支給するときは毎月の給与と合算せず、それぞれに対して雇用保険料を計算する必要があります。

ただし、結婚や出産の祝い金といった金一封に、雇用保険料は発生しません。

給与の総額に含まれるもの・含まれないものを理解する

雇用保険は給与の総額に対して発生するため、給与の総額に含まれるもの・含まれないものを理解した上で、正しく計算する必要があります。

含まれるもの・含まれないものの項目例は次の通りです。

含まれるもの

  • 基本給
  • 残業手当
  • 通勤手当
  • 役職手当
  • 扶養手当
  • 賞与
  • 前払い退職金
  • 休業手当

含まれないもの

  • 結婚祝い金
  • 出産祝い金
  • 傷病見舞金
  • 死亡弔慰金
  • 出張旅費
  • 宿泊費
  • 解雇予告金
  • 退職金
  • 休業補償

通勤手当は給与の総額に含まれるため、保険料が発生する点には注意しましょう。

参照:神奈川労働局「労働保険料の算定基礎となる賃金早見表【労働保険徴収課】

雇用保険料は雇用関係助成金の原資となる

労働者と事業主が支払う雇用保険料は、雇用関係助成金の原資となっています。雇用関係助成金とは、人材雇用に関する様々な助成金の総称です。

たとえば、以下のような助成金が該当します。

  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)
  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
  • 65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)
  • 両立支援等助成金(育児休業等支援コース)

助成金を上手に活用すれば、新しく従業員を雇用して事業の拡大につなげられるでしょう。渡辺事務所では助成金申請の代行サポートをしていますので、どうぞお気軽にご相談ください。

また下記の記事では、障害者雇用で活用できる助成金について解説しています。

【大阪難波の社労士】障害者雇用の助成金とは?主な種類や支給条件などを解説

まとめ

新型コロナウイルス感染症によって雇用調整助成金の申請が増加したため、2023年4月より雇用保険料率がアップします。

労働者は0.5%から0.6%、事業主は0.85%から0.95%と、どちらも0.1%の引き上げ率です。厚生年金保険と比べると負担額は低いものの、負担増に違いはありません。

社会保険労務士法人渡辺事務所は、大阪市中央区難波を拠点に全国対応しております。企業や人事労務のパートナーとなれるよう、給与計算サポートや労務アウトソーシングなど、様々なバックオフィス業務へ対応可能です。

みなさまが経営・本業に専念できるようサポートいたしますので、ぜひご連絡ください。

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