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【大阪難波の社労士】賃金支払いのルールとは?デジタル給与支払いも解説

2023.03.24 社労士コラム

大阪難波を中心に企業の労務対応をサポートしている、社会保険労務士法人渡辺事務所です。従業員に賃金を支払うときは、一定のルールに基づいて行わなければいけません。ルール違反には罰則が設けられているため、注意が必要です。

本記事では賃金支払いの基本ルールについて、支払い時における3つのポイントと一緒に紹介します。また2023年4月から始まるデジタル給与支払いについても解説するため、企業の担当者様はぜひ参考にしてください。

賃金支払いのルールは5原則が基本!

賃金支払いは労働基準法24条にある、5原則に基づいて行われます。

ひとつでも原則が守られなかった場合は、30万円以下の罰金刑に処されます。また労働基準監督署による立ち入り調査や、最悪のケースでは逮捕の可能性もあるでしょう。

以下で各原則の詳細を解説します。

参照:厚生労働省「労働基準行政全般に関するQ&A

通貨で支払わなければいけない

賃金は原則として、通貨(日本の貨幣や日本銀行券)で支払わなければいけません。たとえば、商品券や商品在庫といった現物を、給与の代わりとして支給することは禁止されています。日本で働く外国人に対して、外国の通貨で支払うことも禁止です。

ただし、以下は例外として認められています。

  • 銀行その他の金融機関の預金、または貯金口座への振り込み
  • 通勤手当を定期券として支給
  • 小切手や郵便為替による退職金の支払い

後述するデジタル給与の支給は、上記の例外に該当します。

参照:厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について

従業員へ直接支払わなければいけない

第三者による搾取を防ぐために、賃金は従業員本人へ直接支払う必要があります。たとえ親族や法定代理人であっても、本人に代わって支払ってはいけません。

ただし、以下は例外として認められています。

  • 本人が病気や入院などで受け取れず、使者へ支払う場合
  • 税金滞納などで賃金が差押えられ、差押債権者へ支払う場合

使者とは本人からいわれたことを伝える人で、使者が意思決定はできません。

賃金の全額を支払わなければいけない

賃金は労働契約で定められた全額を、従業員へ支払わなければいけません。たとえば、会社の経営が一時的に苦しいからといって、総支給額を分割して支払うのは禁止です。

ただし、以下は例外として天引きが認められています。

  • 社会保険料や源泉所得税など
  • 社宅の家賃や旅行積立金など

企業から従業員への貸付金があっても、一方的な相殺はできません。しかし、従業員の同意が得られれば、相殺が可能です。

毎月1回以上支払わなければいけない

賃金は毎月の初日から月末までの間で、1回以上は支払う必要があります。毎月1回以上であれば、2回や3回でも問題はありません。賃金の2カ月分や3カ月分を、1回にまとめて払うのは違法です。

ただし、賞与のほか、結婚手当・出産手当といった臨時の賃金は例外として認められています。

一定の期日で支払わなければいけない

賃金は毎月25日・末日・毎週末など、一定の期日を設定して支払います。

ただし、賞与や臨時の賃金は例外です。また支払日が休日にあたるなど、曜日の関係で支払いが困難な場合は、繰り上げ支払いや繰り下げ支払いが認められます。

賃金を支払うときに注意しておきたい3つのポイント

賃金を支払うときは、上記で解説した5原則に沿って行わなければいけません。また他にも注意しておきたいポイントが全部で3つあります。

ポイント①:最低賃金を守る

必ず最低賃金を守りましょう。企業は従業員へ、地域別や職種別に定められている最低賃金以上を支払わなければいけません。

たとえ従業員自らが最低賃金以下での就労を希望しても、最低賃金法や労働基準法違反となるため注意してください。

最低賃金法違反は50万円以下、労働基準法違反は30万円以下の罰金が科されます。

参照:厚生労働省「最低賃金制度とは

ポイント②:従業員が午前10時までに賃金を引き出せるようにする

銀行口座へ賃金を振り込む場合は、従業員が午前10時までに引き出せるようにしておきましょう。法律で決まっているわけではないものの、労働基準監督署の指導により午前10時までとされています。

ポイント③:振込手数料は企業側が負担する

銀行口座へ賃金を振り込む場合、振込手数料は企業側が負担しなければいけません。従業員に手数料負担を強いると、5原則の「賃金の全額を支払わなければいけない」に違反します。

【2023年4月解禁!】デジタル給与支払いの概要

2023年4月よりデジタル給与支払いが解禁され、厚生労働省の指定を受けた資金移動事業者(電子マネーや決済アプリサービス)で賃金を支払えるようになります。コスト削減や生産性の向上、キャッシュレス決済の普及促進などが目的です。

以下でデジタル給与支払いのメリットとデメリット、導入にあたって求められる対応について紹介します。

メリット

導入にともなう主なメリットは次の通りです。

  • 振込手数料を抑えられる
  • 外国人労働者を雇用しやすくなる
  • 従業員の多様なニーズに応えられる

銀行口座へ賃金を振り込む場合は、1件あたり数百円の振込手数料が必要です。従業員数が多くなればなるほど、経費はかさむでしょう。しかし、デジタル給与の場合、現状では送金時の手数料がかからないものがほとんどです。

日本の銀行口座をつくりにくい、外国人労働者を雇用しやすくなるメリットもあります。

また「現金化の手間をなくしたい」「アプリ上で支出管理したい」など、従業員の多様なニーズに応えられます。

デメリット

メリットがある反面、以下のようなデメリットも考えられるでしょう。

  • 運用フローを作成しなければいけない
  • 経理の工数が増える
  • 経営破綻のリスクがある

企業によっては既存システムでは対応できず、新しく運用フローを作成しなければいけません。また銀行口座振り込みとデジタル給与支払いの二重運用により、経理の工数が増えるデメリットもあります。

さらに現時点では、資金移動業者の経営破綻に対する補償が十分に整備されていない点も気になるところです。

デジタル給与支払いで企業に求められる対応

まずは実際に働く従業員の中で、どのくらいのニーズがあるかを確かめてみましょう。一定数のニーズがある場合は、導入を検討します。

また利用するためには、従業員ごとにデジタルマネーの個人キー情報が必要です。収集した情報が外に漏れないよう、適切に管理しなければいけません。

まとめ

従業員へ賃金を支払うときは、5原則に沿って行いましょう。ひとつでも原則に違反すると、30万円以下の罰金が科されます。

また2023年4月1日から始まるデジタル給与支払いでは、スムーズに利用できるよう運用フローの作成や個人キー情報の収集・管理などが欠かせません。

社会保険労務士法人渡辺事務所は、大阪市中央区難波を拠点に全国対応しております。賃金支払いやデジタル給与支払いの導入でお困りの企業・担当者は、ぜひご連絡ください。

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